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中教審「これまでの審議のまとめ」をどう読むか(生活・総合)
「生活科」と「総合的な学習の時間」の改訂のポイント
1.今次改訂の学力観を探る

生活科及び総合的な学習の時間について触れる前に、平成19年11月7日付けで告示された『教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ』(以後、審議のまとめ)の、特にこの二つにかかわる改訂のポイントについて確認しておきたい。
 まず、今次改訂において、中央教育審議会(以後、中教審)は新しく「人間力」という言葉を打ち出した。これまで文部科学省(あるいは文部省)は改訂のたびに「自ら考える力」「自己教育力」「生きる力」「確かな学力」などの学力観を示し、学校現場はそのたびに理解や対応に苦慮してきた。それに呼応するかのようにこれらの文言が学校教育目標や研究課題に盛り込まれてきた経緯がある。
 すべての教育活動の前提は「子どもたちにどのような力を付けるのか」という目標の明確化と共有化である。それが曖昧だと学校教育のような意図的・計画的な教育は機能していかない。また、子どもにどのような力が付いたか、子どもがどう変容したのかを明らかにするための評価においても同様である。すべての教育活動においてきわめて重要な目標と評価の明確化と共有化に大きな影響を与えるのが学力観である。
 そこで改めて、各学校においては、今次改訂で文部科学省はどのような学力観に立って教育改革を進めようとしているか、それが審議のまとめや学習指導要領にどう反映されているのかを読み解くことが求められる。 文部科学省は「生きる力」や「確かな学力」の看板を下げたわけではない。審議のまとめの中で『改正教育基本法や学校教育法の一部改正は、「生きる力」を支える「確かな学力」、「豊かな心」、「健やかな体」の調和を重視するとともに、学力の重要な要素は、(1)基礎的・

基本的な知識・技能の習得、(2)知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等、(3)学習意欲、であることを示した。そこで示された教育の基本理念は、現行学習指導要領が重視している「生きる力」の育成にほかならない』と明示している。
 総合的な学習の時間の削減により、上記の学力の(1)が重要視されたように受け取られがちである。しかし、PISA学力調査の「学力は上位にあるものの応用問題に弱点があり、学習意欲面に問題がある」という結果も反映し、総合的な学習の時間は元より、教科学習においても改めて(2)や(3)の学力重視が打ち出されたのである。
 審議のまとめの中では、特に(2)にあたる「思考力・判断力・表現力等の育成」の記述が随所に表れている。現行学習指導要領では、これらの能力の育成は主に総合的な学習の時間が担うといったニュアンスが強かったが、今次改訂では各教科においても重視の方向である。総合的な学習の時間を削減し、教科の時数を増やした根拠にもなっている。
 その具体的な活動として、『(1)体験から感じ取ったことを表現する』『(2)事実を正確に理解し伝達する』『(3)概念・法則・意図などを解釈し、説明したり活用したりする』『(4)情報を分析・評価し、論述する』『(5)課題について、構想を立てて実践し、評価・改善する』『(6)互いの考えを伝え合い、自らの考えや集団の考えを発展させる』の6分類が例示されている。
 (1)や(4)、(5)、(6)はまさに生活科や総合的な学習で重視され取り組まれてきた活動である(村川雅弘編著『「確かな学力」としての学びのスキル』日本文教出版)が、これらの学習活動を各教科の中でも展開していこうと提案しているのである。