●移行期における造形活動の工夫

地域素材を生かした造形学習

3学年つくる(立体)5時間
森のなかまたち−自然木による表現−

北海道室蘭市立八丁平小学校 北村哲朗

 学習指導要領の改訂により時間数が削減される中で,どのように題材を設定し学習を展開していくのか教育現場や個々の指導者は柔軟な対応の必要に迫られている。
 少ない時間数に対応していくためには,これまで取り扱ってきたような題材の時間数を減らすか,題材数を減らし一つの題材にかける学習時間を増やすことが考えられる。また,基礎的な内容を短時間で取り扱いながら,学期や年間を通してそれと並列に個々のテーマに取り組ませるという方法もあるだろう。いずれにしても十分な成果が期待できる学習内容でなければならない。合科的、横断的な指導も求められ,指導者は学習のプロセスをデザインする能力を一層問われるものと思われる。
 新学習指導要領では,地域の身近にある材料を取り上げることが強調され,各学年ごとの目標及び内容に材料や場所の工夫について示されている。
 これらのことを考えながら実践に取り組んでみたので紹介したい。
 「森のなかまたち」は,身近な地域素材である自然木の枝木や木切れ,木の実や葉を使って不思議な生き物をつくるものである。材料の持つ質感や肌合い,形態の面白さに着目させつくりたい生き物をのびのびと表現させたいと考えて題材を設定した。また,指導の計画にあたっては,行事(遠足)との関連を図った。森という実際の自然の中で思う存分遊び,素材に出全う生きた体験が,作品のイメージ化に役立つと考えたからである。材料探しの場所であることを遠足の目的の一つに加えたことで,子供達には一味違った遠足となり,その後の図工の授業における見立てや構想,発想段階にスムーズにつながっていくこととなった。
 実際の学習では,個々の子供達が森の番人,木に住みついている生き物など森のストーリーを考え出し,様々な個性が感じられる作品が出来上がりねらいが達成できたと考えている。子供達はなかなかのこぎりや金づちを持った手を休めようとはせずに大変意欲的に学習を進めていた。初めてこれらの道具を使う子もおり,この機会に道具を買い与えた保護者もいるなど不足分の材料集めとともに家庭の理解,協力を得ることができた。3年生の段階では,加工技術にはかなり抵抗のある素材であったが,グループによる共同作業をする子もいて,お互いに手を貸したり,アイディアやイメージを共有しようとする姿も見られた。



授業を振り返って
 この題材を通して,地域の自然を見なおすよい機会ができたと考えている。新興住宅地として宅地の造成が進み,少しずつ自然環境も変化してきている本校地域ではあるが,あらためて自然の豊かさや価値について考えることができたことは,子供達の心に深くきざまれたのではないかと思われる。
 今回の学習の構想にあたっては,行事(遠足)との関連を図った。これは,今後実施される新教育課程の中でも検討が必要となってくる視点でもある。教科の枠を越えたり,総合的学習との関連をもたせたり,行事の精選などと関わりを持つことが重視されてくるからである。図工はそのひとつの切り込み口として,大切な役割を担わされていると考える。
 自然と人間の共存,共生が唱えられている現在であるが,出来上がった作品の取り扱いについて次のようにした。「家で保管し自然のよさを味わう」「写真等に記録し自然(森)の中に返す」等である。特に後者の場合を考慮して,作品の組み立てには,鉄釘,針金,天然繊維のひも等腐蝕,分解すると自然に還るものを使用させたことも付記しておく。


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