●鏃 YAJIRI「ダンス・オブ・ダスト」 を観て
「運動靴と赤い金魚」, 「太陽は, ぼくの瞳」, 「ダンス・オブ・ダスト」 は, この1, 2年に日本で上映されたイラン映画で, 子どもを主人公とした作品である。
「ダンス・オブ・ダスト」 (アボルファズル・ジャリリ監督) の映画には外国映画でありながら日本語の字幕がない作品。
映画のストーリーは砂漠の村でれんが工場で働く11歳の少年イリヤと季節労働者の家族としてこの村に来た少女リムアの淡い恋の物語。
イリヤとリムアが直接出会って言葉を交わす場面はない。 それでもイリアはリムアの姿を追い求める。 れんがの木型に粘土を詰め込むイリヤは自分の手形を押したものを作り, そっとリムアが住む窓に置く。 そのれんがを見つけた家族は井戸に投げ捨てる。
やがて雨期の季節が来た。 乾燥のために干していた粘土のれんがは雨で崩れ泥となる。 仕事を失った季節労働者の親とともにリムアはトラックで村を去り列車に乗る。 イリヤが駅にたどりついた時にはすでに列車は駅をあとにしていた。 イリヤはガレキの山を駆け上がるが列車は見えない。 リムアの名前を叫びながら映画は終わる。
台詞はほとんどない。 れんがを焼く音, たたきつける雨の音, 祭りの音, 少年イリアの息づかい, 列車の音, 風の音だけである。
イリア, リムアの家庭は決して豊かな生活ではない。 しかしその中でひたむきにイリア, リムアは生きている。 それは饒舌な日本が失った世界である。
(三角定規)
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