●鏃<YAJIRI>

造形遊びの生き残り


 戦後小学校学習指導要領に登場して以来これほど話題になったものはないであろう。

 子どもの遊びを学習に,現代美術を教材に等々,造形遊びはベールを被ったまま遊びを学習化することの難しさ,素材の教材化の困難さなど混沌とした時代が四半世紀続いてきた。その結果,そのまま遊びを学習に持ち込んだため,子どもや教師に戸惑いがおこり,放任主義の指導との批判も出てきた。また,材料の準備や場所の確保,指導の目当ての不明確化,評価のあり方など様々な問題が生じてきた。指導の実際としては低次な指導が展開され,子どもが教師につき合っているというような感じの授業が目につくようになった。

 従来,造形遊びの授業は高次なものであり,目的・目標の設定からその達成まで,一人一人の子どもの意志決定と価値判断に基づいて全うすべきものであり,学習の理想の状態のものである。しかし,実際には材料や場所を準備して,「○○をつくろう」「〜で遊ぼう」といった展開が多く,子ども達が考えたり,行動したりする場面を教師が規定してしまっていることがしばしばである。

 造形遊びの真の授業化を目指すことが必要である。そのため,今まで以上に目の前の子どもたちが自ら目的・目標の設定を図ろうとするような場やものの吟味,環境設定の工夫が望まれるし,そのための題材名や約束事,決まりといった枠組みの見直し,評価の研究が不可欠になる。

 高次な造形遊びの授業化が図画工作科の生き残りの道の一つである。

(クローン性)

 


もどる
もどる
次へ
次へ

目次へ