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練馬区立美術館を訪ねて マンネリ化しそうな日常を払拭するために,私は時間を見つけては美術館に足を運んでいる。昨年の夏,練馬区立美術館を訪ねたらおもしろい展覧会に出会った。「ジュニアキュレーターによる不思議Beautiful」展だ。これは,中学生が自分たち独自の視点で展覧会のテーマを設定し,学芸員という仕事を学びながら展覧会の企画から開催までを体験してもらおうという,練馬区立美術館独自の事業計画から生まれた展覧会である。文化庁芸術拠点形成事業の助成をうけてのものだということであるが,活動そのものがデザイン的で,美術作品の扱い方を専門家から学ぶなど,学習要素も幅広く,学社融合の視点からも意義ある企画であると感じた。一時間ほどその展覧会場にいたら,この展覧会を企画した中学生の感性の深さまで感じ取れ,「この子たちはいい経験をしたな…」と,私は無意識のうちに呟いていた。
練馬区立美術館のジュニアキュレーター企画とは比べものにならないほど,せこい発想ではあるが,美術の教科書を土俵としてこの企画を教材化したらどうだろうか…と,ふと思った。学校教育法第21条により使用が義務化されている教科書を安易に再構成するというのは著作権法に当然触れることではあるが,一つの学習として教室内に止めるということであれば,少しは大目に見てもらえるだろうか。いずれにしろ教科書は,学習指導要領の目標と内容に照らし,それぞれのページにテーマが設定されており,特に図工や美術は子どもたちに参考にしてほしい作品などが豊富に掲載されている。自分が気に入ったページを一つ選び,そのページのテーマに迫る参考作品を子ども自身が精選し,ページレイアウト,レタリング,見出しや本文に至るまで子どもたちの視点で工夫させてみるという学習はいかがなものだろうか。机上ではあるが,これもちょっとした「ジュニアキュレーターによる不思議Beautiful」である。
美術館に限らず,自然や街の中など,私たちの周りには教材となり得る素材が溢れている。教壇に立つ者はその素材を日常的に発見し,目の前にいる子どもたちの顔を思い浮かべながら教材化を図ることが必要だ。ものとの出会い,人との出会い,自然との出会いの中で,目を凝らし,耳を澄まし,肌で感じる学習機会を自ら広げ,それを生かす力は,教師であるからこそ,人一倍必要なものではないだろうか。実体なき箱の中で顔を強ばらせ,学力や評価を論じているようでは空回りもいいところである。 (唐辛子) |