機関誌Web版「FORME」

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連載 鏃YAJIRI

 いま造形美術教育に求められるもの


第58回全国造形教育研究大会神奈川大会運営委員長
横浜市小学校図画工作教育研究会会長
横浜市立万騎が原小学校校長
木川田光弘

 全国的に見て,学校教育を取り巻く環境はますます厳しくなってきています。とりわけ造形美術教育においては,非常に厳しいものを感じています。たとえば,「学力」についてさまざまな議論がなされている現在,造形美術教育で育てる「学力」とは何かが市民に伝わっていないことです。もっと言えば,造形美術教育で育てる学力について,他教科のような議論がまったくなされていないことです。このことについて,私たち造形美術教育に関わるものは,危機的状況と受け止める必要があります。そして私たちは,市民が存在感を覚えるような造形美術教育の実践を積み重ね,その結果を子どもの言葉を通して,造形美術教育の重要性について広く市民にPRしていくことが責務であると感じています。

 さらに言えば,課題として私たちがすぐにでも取り組まなければならないことがいくつかあります。

 その一として,造形美術教育の小学校・中学校のつながりが大変悪いことです。同じ子どもが,中学校に進学して行う美術の学習内容が,小学校の図画工作のそれとあまりにもかけ離れたものになっています。このことは,造形美術教育で育てる「学力」と関連して,小学校・中学校の学習内容を一貫した考え方のもとに早急に見直す必要があります。

 その二として,依然として「指導と評価」の一体化が十分図られていないことです。指導内容と評価規準が,学習活動の中にしっかり対応し位置づけられていない状況が見られます。評価規準に示された内容は,日々の学習指導の中で,私たちが子ども一人ひとりにしっかり指導すべき内容です。

 その三として,子どもが夢中になって活動するような魅力的な題材の開発への取り組みが不十分なことです。学年研究会の時間ですら十分とれない現状で,何を言うかと叱られそうですが,造形美術の学習活動は,主体的な子どもの活動が展開されない限り,学習として成り立たないことは皆さんもご承知の通りです。子どもが飛びついて,夢中になって取り組む造形美術の学習活動にするためには,魅力的な題材の提案が不可欠です。私は,造形美術教育の危機的状況を脱却するための状況をつくり出すためにも,魅力的な題材の開発がどうしても必要だと考えています。

 平成17年度は,全国造形教育研究大会および関東甲信越静地区造形教育研究大会が神奈川県で開催されます。この大会を,子どもたちのために,造形美術教育について危機感をもって共に考え,行動を起こす絶好の機会としたいものだと考えています。

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