形 FORME

>> No.284 >> P.16-17

※当ページは年3回発行する機関誌(冊子)のWeb版です。
毎回、その号の冊子の中からピックアップしてご案内しています。

教科書題材実践事例 中学校2・3年生向き

自然の材料で染めて、飾ろう -飾り布の制作-

沖縄県那覇市立神原中学校 / 安次嶺勝江
(実践は前任の金城中学校で行われたものです)

美術2・3下、18・19ページに掲載している「暮らしや生活を彩る」を基にした実践事例です。一般的に染色で使われる身近な植物以外にも、地域性を生かした材料で飾りをつくってみると、さらに生徒の創造意欲を高めることができるのではないでしょうか。

指 導 計 画
題材名
自然の材料で染めて、飾ろう
時間
7~8時間
準備
生徒:裁縫セット、たまねぎの皮
教師:布(綿)、はさみ、豆乳、大豆、ひも、染色用具一式、植物(校庭の樹木から採取)など
学習目標
○草木染めについて知り、身近なものや自然の材料を発見する。
○素材や技法の特性、美しさを生かし、作品の構想を練る。
○自然の材料で飾るものをつくり、使う楽しみを味わう。
主な評価の観点
●身近な素材に関心を持ち、制作に使えるものを見つけたか。(美術への関心・意欲・態度)
●技法や材料の特性などから表現可能な方法を考え、つくりたいものを構想することができたか。(発想・構想の能力)
●質感や色彩の効果的な工夫をして制作することができたか。(創造的な技能)
●自己や他者のよさを発見したり、作品を飾り味わうことができたか。(鑑賞の能力)
《この題材のとらえ方》
画像:写真1 作品

写真1 作品

本校は校舎の周りに多くの樹木が繁っている。ガジュマル、福木(ふくぎ)、クロトン、車輪梅(しゃりんばい)、桑など沖縄のどこにでも見られる木であり、昔から染色材料としてよく使われているものがある。その身近な自然の材料を使用して布を染め飾ってみることで、生活に潤いをもたらす取り組みになると考えた。つくる楽しさや使う楽しさを味わい生活に取り入れることは、創造意欲を高めることにもなるであろう。また、布を染めることが、さらには沖縄の各地で古くから行われている染め織りへの興味を持つきっかけになれば幸いである。

【導入】 20分

草木染の参考例を紹介し、身近な生活の中から材料を拾い、染めて楽しむことができるということを説明した。人工的なあざやかな色との違いや材料となるものと染まった色が同一ではないことを、試作した布の提示で実感させた(例:紅茶、玉ねぎ、青切りみかんの皮)。

【展開1】 80分~100分

○構想を練る

染めるために色々な制約が生じるが、どのような飾り布にしたいのか大まかな模様や色の予想を立てさせ、アイデアスケッチを画用紙に描かせてみた。また、染めの技法として、絞り、豆乳の活用(豆乳を染み込ませた部分は濃い色になる)があることを知らせ、制作可能なデザインを考えるよう指導した。大胆な形や単純な模様は、染めの効果がはっきりと表れやすい。

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画像:写真2 布の準備

写真2 布の準備

○布の下準備

絞りは糸やビニール紐を使用し、中に大豆を包んでみるなど各自の様々な試みが見えた。豆乳は、市販のものを3倍ほどに薄めて直接布に描かせた。

【展開2】 50分

○植物の採取

画像:写真4 材料を採取し、細かく刻む

写真4 材料を採取し、細かく刻む

染めの材料として、校舎周辺の樹木から剪定された枝の中に福木と車輪梅を見つけて使用し、玉ねぎの皮は各家庭から持参させ、3種類とした。染液は、時間の都合上、授業の前日に教師がつくっておいた。

【展開3】 100分

○染める

画像:写真5 染める

写真5 染める

画像:写真6 干す

写真6 干す

この工程はガスコンロが必要なので、調理室を借用し、同一染液のグループ単位で活動させた。互いに協力して手順や時間を確認し、なべの中の様子を観察させながら進めた。1回目の染めを終え、授業の時間内ではなべが冷めないため、翌日美術室に干した。布は、それぞれ黄色、茶系、黄土色に染まった。2回目は1週間後、みょうばんで色留めを行い、再び染液を増量し煮出した。生徒は初めて布を染め、その偶然性や模様の意外さを見つけた。

【展開4】 70~100分

○飾り布に仕上げる

染めた布に、小枝やボタン、麻ひもなど飾りになるものを取り付け、仕上げた。染めの色や模様の強弱を考え、自然のよさが感じられるような飾りになるよう指導した。

【まとめ】 30分

○作品を鑑賞する

自分や友だちの作品を鑑賞し合った。また、制作しての感想、工夫点などを話し合い、用紙にまとめた。

ひとこと

最初のアンケートに、きれいな色やよい香りのするイチゴやバラの花びらなどで染めてみたいという生徒の声もありました。好奇心旺盛な期待にすべては応えられませんでしたが、この題材で、身近なものや自然に目を向け楽しんでほしいと思いました。白い布が黄色や茶色に変わる不思議さを体験し、創造の意欲をくすぶることができたらいいのではないでしょうか。
 授業は、制作の工程、用具、教材のサイズや代用できるものをもっと工夫して試すことができるので、色々な可能性のある題材だと思いました。

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