沖縄県那覇市立神原中学校 / 安次嶺勝江
(実践は前任の金城中学校で行われたものです)
美術2・3下、18・19ページに掲載している「暮らしや生活を彩る」を基にした実践事例です。一般的に染色で使われる身近な植物以外にも、地域性を生かした材料で飾りをつくってみると、さらに生徒の創造意欲を高めることができるのではないでしょうか。
本校は校舎の周りに多くの樹木が繁っている。ガジュマル、福木(ふくぎ)、クロトン、車輪梅(しゃりんばい)、桑など沖縄のどこにでも見られる木であり、昔から染色材料としてよく使われているものがある。その身近な自然の材料を使用して布を染め飾ってみることで、生活に潤いをもたらす取り組みになると考えた。つくる楽しさや使う楽しさを味わい生活に取り入れることは、創造意欲を高めることにもなるであろう。また、布を染めることが、さらには沖縄の各地で古くから行われている染め織りへの興味を持つきっかけになれば幸いである。
草木染の参考例を紹介し、身近な生活の中から材料を拾い、染めて楽しむことができるということを説明した。人工的なあざやかな色との違いや材料となるものと染まった色が同一ではないことを、試作した布の提示で実感させた(例:紅茶、玉ねぎ、青切りみかんの皮)。
○構想を練る
染めるために色々な制約が生じるが、どのような飾り布にしたいのか大まかな模様や色の予想を立てさせ、アイデアスケッチを画用紙に描かせてみた。また、染めの技法として、絞り、豆乳の活用(豆乳を染み込ませた部分は濃い色になる)があることを知らせ、制作可能なデザインを考えるよう指導した。大胆な形や単純な模様は、染めの効果がはっきりと表れやすい。
○布の下準備
絞りは糸やビニール紐を使用し、中に大豆を包んでみるなど各自の様々な試みが見えた。豆乳は、市販のものを3倍ほどに薄めて直接布に描かせた。
○植物の採取
染めの材料として、校舎周辺の樹木から剪定された枝の中に福木と車輪梅を見つけて使用し、玉ねぎの皮は各家庭から持参させ、3種類とした。染液は、時間の都合上、授業の前日に教師がつくっておいた。
○染める
この工程はガスコンロが必要なので、調理室を借用し、同一染液のグループ単位で活動させた。互いに協力して手順や時間を確認し、なべの中の様子を観察させながら進めた。1回目の染めを終え、授業の時間内ではなべが冷めないため、翌日美術室に干した。布は、それぞれ黄色、茶系、黄土色に染まった。2回目は1週間後、みょうばんで色留めを行い、再び染液を増量し煮出した。生徒は初めて布を染め、その偶然性や模様の意外さを見つけた。
○飾り布に仕上げる
染めた布に、小枝やボタン、麻ひもなど飾りになるものを取り付け、仕上げた。染めの色や模様の強弱を考え、自然のよさが感じられるような飾りになるよう指導した。
○作品を鑑賞する
自分や友だちの作品を鑑賞し合った。また、制作しての感想、工夫点などを話し合い、用紙にまとめた。
ひとこと
最初のアンケートに、きれいな色やよい香りのするイチゴやバラの花びらなどで染めてみたいという生徒の声もありました。好奇心旺盛な期待にすべては応えられませんでしたが、この題材で、身近なものや自然に目を向け楽しんでほしいと思いました。白い布が黄色や茶色に変わる不思議さを体験し、創造の意欲をくすぶることができたらいいのではないでしょうか。
授業は、制作の工程、用具、教材のサイズや代用できるものをもっと工夫して試すことができるので、色々な可能性のある題材だと思いました。
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