図画工作5・6上、20・21ページに掲載している「曲げてねじって」を基にした実践事例です。今回は、粘土の板から色々なものへ見立てることによって製作する実践です。
指 導 計 画
- 題材名
- 曲げてねじって
- 時間
- 3~4時間
- 準備
- 粘土(2㎏)、粘土板、綿布、のし棒、たたら板、へら、ピアノ線(切り取り用)、型押しの道具、どべ、新聞紙 など
- 学習目標
- ○粘土に手を加えていく操作を通して、思いついた形を作品にする。
- ○「粘土の板」のつくり方、道具の使い方、接着の仕方などを工夫する。
- ○製作過程を通して、自分や仲間の作品にあるよさや違いに気付き、作品に生かす。
- 主な学習内容
- ○「粘土の板」から作品化することを知る。
- ○「粘土の板」をつくってみる。
- ○「粘土の板」に手を加えながら『見立て』を言葉にしたり、仲間と交流したりする。
- ○『見立て』をもとに作品として仕上げる。
- ○仲間と作品を鑑賞し、互いのよさや違いを味わう。
- 主な評価の観点
- ●「粘土の板」に手を加えてできる形や空間の変化を楽しんでいる。(関心・意欲・態度)
- ●手を加えてできる形からつくりたいものを思いついて『見立て』ている。(発想や構想の能力)
- ●道具を使い、『見立て』をもとに工夫しながらつくっている。(創造的な技能)
- ●自分や仲間の作品にあるよさや違いを見付ける。(鑑賞の能力)
1 題材について
本題材は、粘土の塊から「粘土の板」をつくり、様々な加圧の方法や、削り、接着、ひねり等の手の加え方による“粘土の変化”を体感的に楽しむ場から展開する。そして、数々の『ためし』を通して、立体としての形態や空間、表面の様子等から『見立て』を言葉にし、作品化を楽しむ場へと発展する。児童一人ひとりが、造形的な行為を通して生まれた形態の何に着目し、何を感じ、どのように意味付けしていくのかを、教師自身も注視し、作品化への発展の過程をともに楽しむことができたらと願う。
2 学習活動について
(1)『あこがれをもつ場』
- 教師の演示により、粘土の塊から「粘土の板」をつくる方法を知る。
- 粘土の塊の上と下に綿布を置くと、粘土板やのし棒に粘土が付かず、のばしやすいことを知る。
- ・広がってきた粘土の板の両側に、たたら板を置き粘土を平らにしていくと、均一な厚みの「粘土の板」ができることを知る。
- ・2㎏の粘土でできる「粘土の板」の大きさ(広さ)を知り、自分の作品の大きさの目安とする。
- 教師の演示により、「粘土の板」への様々な手の加え方を知り、それぞれのよさを味わう。
- ・のし棒やたたら板、へら等で表面をたたいたり、押しつけたり、削ったりした表面の変化を知る。
- ・ピアノ線やへら等で粘土を切り、その断面の様子(光の当たり方による表面の様子等)を知る。
- ・ゆっくり曲げたり、立たせたりした形態や空間、表面の様子を知り、感想を伝え合う。思いついた『見立て』を言葉(例:洞窟みたい/波に見える/流れていく感じ等)にして楽しむ。
(2)『ためし求める場』
- 「粘土の板」をつくってみる。体全体を使い、のし棒で粘土を平らにしていく。左の写真ではのし棒の跡を付け、その連続を楽しんでいる。
粘土を平らにしている様子
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- 「粘土の板」に手を加えながら『見立て』を言葉にしたり、仲間と交流したりする。のし棒やたたら板の先を力の加減を変えながら押しつけ、連続したくぼみをつくってみる。
粘土べらでかき出す。
力加減でかき出しの深さを変えたり、かき出す長さや方向を変えたりしてみる。かき出した粘土を立てたり取ったりしながら、「生き物みたい…」とつぶやき、『見立て』へと進んでいく。
A子は粘土の連続した曲面に興味を持ち、「粘土の板」全体に変化をつけていく。思いついたことをもとに、手を加えながら、水面の“波、渦”等を想起して『見立て』を進めていく。
「粘土の板」に付けた凹み
製作の様子
「粘土の板」を波状にしている様子<A子>
<A子の様子>
大きな三つの波をそれぞれ三つか四つに切って、細かい波にしている。
水の泡やしぶきを粘土の球でつくり、波の上に“どべ”で付けていく。薄く細い「粘土の板」を丸めて渦をつくり、付けていく。
波と波の間は粘土べらでつるつるにして、波や渦が目立つようにしていく。
波の上に球を付けている様子
さらに球を付けている様子
『うずの世界』
(3)『ふりかえる場』
仲間と鑑賞し、互いのよさや違いを味わう。
ひとこと
教師自身が素材に惚れ込むことが大事だと先輩から教えられました。教師自らが粘土に親しみ、その可能性をためし、美しさやおもしろさ、楽しさ、また難しさ等を実感できていること、さらに、基本的な技術や技能等を会得していることが肝心だと思います。粘土に手を加えることによる様々な変化を、児童とともに心躍らせて見入り、様々な感動を言葉にし合いたいものです。
本実践では、粘土2㎏では足りない児童、時間内に2作目に再挑戦する児童等のために予備の粘土を準備しました。また、休み時間等での自主的な製作も保障しました。個の創作意欲が存分に発揮できるよう、可能な限りの配慮をしたいものです。
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