形 FORME

>> No.288 >> 巻頭のことば

※当ページは年3回発行する機関誌(冊子)のWeb版です。
毎回、その号の冊子の中からピックアップしてご案内しています。

巻頭のことば

大切なことはすべて 図工の時間が教えてくれました

ビジュアルプロデューサー / 季 里(きり)

2008年3月に日本科学未来館で「∞(むげんだい)のこどもたち」という展覧会のトークショウに出演するお話しがあり、私にとって「図工の時間」が何だったのかを改めて考えてみました。昔の記憶をさかのぼると…。雨が降った体育の時間、体操服に着替えて教室の机を全部後ろに押しやり床中に紙を貼って大きな絵を描いたこと、先生が出張でお休みの日、一日中粘土を触っていてよいことになり、3時間目を過ぎた頃には、教室のあちらこちらでそれぞれの粘土の世界のお話がにぎやかに語られるなど、クラスの皆で夢中になって何かをつくり出した幸せな時間が思い出されます。そしてその幸せな記憶が今の私の仕事「たくさんのスタッフで協力して何かを創り誰かを楽しませること」につながっているように思います。

「図工の時間が教えてくれた大切なこと」

  • *爆発させること、収束させること
  • *人とくらべること
  • *人とくらべないこと
  • *時間に間に合わせること
  • *適当にさぼること
  • *得意なことと不得意なこと
  • *美しさの基準は人それぞれということ
  • *普遍的な美しさがあること
  • *目的地にたどり着く方法はいろいろある
  • *目的地にたどり着かないときがあってもいい
  • *人と仲良くすること
  • *孤独な時間も楽しい
  • *自分のつくったものが誰かを笑顔(幸せに)すること

まだまだ他にあるような気がします…。

図工や美術の授業時間がどんどん減っていると聞き、私はとても残念な気持です。モチロンどの教科も大切です。でも図工や美術の時間ほど、自分に向き合い、他者を理解し受け止めることのできる機会はないのではないでしょうか。
 日本社会に住んでいる私たちに足りない「哲学的視点」を与えてくれる貴重な時間。私は図工・美術の時間を応援しています!

プロフィール

画像:季里 季 里
先生になるかモノをつくる人になるか…悩んだ末に進学し た大阪教育大学(小学校課程美術専攻)在学中、新しい表現 の可能性を感じ、黎明期のCG研究を牽引していた大阪大学 工学部大村皓一氏の元に弟子入り。最初の作品の受賞をきっ かけにCGアーティストとして創作活動を始める。 1993年、パラッパラッパー/ビブリボン/たまごっちのプ チプチおみせっち等ユニークなゲーム制作で知られる七音社を共同設立。現在再び 子どもたちの教育に関わる方法を模索中。

次のページへ:心 広がる場面(小学校5・6年生向き)

Copyright © 2007 Nihon Bunkyou Shuppan Co., Ltd.All Rights Reserved.