●実践例3
身近な環境をいかした生活科の学習
〜ウェビング手法を活用した学習過程の工夫〜
岐阜県大垣市立小野小学校
(前任校 岐阜県恵那郡岩村町立岩邑小学校)
香田健治
1 はじめに
本校は,標高500mほどの高地にある。岩村町には,豊かな自然が残されており,さまざまな生きものが生息する岩村川,吉田川,たくさんの木々が生い茂る城址公園や知多野外教育センターなどがある。また,公民館,福祉センターなどの公共施設や商店街がある。
商店街のある本町通りでは,夏には「夜店」,秋には岐阜県の無形文化財に指定されている「岩村祭り」が行われる。しかし,児童はこのような自然環境や社会環境と直接かかわる機会や,地域の人々とふれ合う機会が少なくなってきている。そこで,これらの身近な環境をいかし,児童の実態に応じた学習を展開しようと考えた。
そして,「川と遊ぼう」「町探検をしよう」「子ども秋祭りをしよう」などの身近な環境とかかわる活動や体験を重視した単元指導計画を立て,実践してきた。
2 生活科の学習過程
3 「子ども秋まつりをしよう」の実践
本単元は,学習指導要領生活科の内容(5)を中心に構成し,内容(3)とも関連づけて単元を設定した。
地域の豊かな自然に思う存分浸ることや地域の秋祭りに参加したり,地域の人々と直接かかわったりしながら,四季の変化や生活の変化に気づくとともに,自分たちの行事を自分たちでつくり出すという活動に発展させたい。これが,生活を工夫したり楽しくしたりする方法を身につけることにつながると考えた。
◯目標
・身近な自然の中で遊んだり,地域の行事にかかわったりする活動をとおして,自分たちも祭りをやってみたいという意欲をもち,祭りをつくりだす活動の中で,必要なものを協力して準備し,工夫するとともに,招待した人といっしょに祭りを楽しむことができる。
◯観点別目標
【生活への関心・意欲・態度】
・身近な自然の中で遊んだり,地域のようすを調べたりしている。
・祭りに関心をもち,楽しく活動している。
【活動や体験についての思考・表現】
・季節に応じて,自分たちの生活を工夫したり楽しくしたりできる。
・工夫してつくったり協力して遊んだりしたことや楽しかったことを表現することができる。
【身近な環境や自分についての気づき】
・四季の変化や季節の変化によって生活のようすが変わることに気づく。
4 活動の流れ(表1)
子どもの活動や体験 出会う ◯やってみたいことを決めよう
◆秋の野外教育センターで学ぶ(活動1)
◆秋の町を探検する(活動2)
・町のようす,お店のもの,岩村祭り
◆やってみたいことを決める(表2)
・子ども秋まつりの計画を立てる向かう ◯子ども秋まつりの準備をしよう
◆出し物の練習をする
・八木節,みこし,演奏,読み聞かせ
◆お店づくり
・ブローチ,ダーツ,輪投げなど
◆衣装・招待状づくりをする
・図書・パソコン活用
◆飾りつけをする
◆練習をする自覚する ◯子ども秋まつりを楽しもう
◆出し物(みこし,楽器演奏,八木節,読み聞かせ)
◆お店(魚釣り,ダーツなど)
◆お礼の手紙を書く
◆子ども秋まつりをふり返る
5 ウェビングマップ(表2)
6 ウェビング手法を活用した学習過程(表1)
(1)学習への導入(出会う)
子どもたちが,自分で課題を見つけることができるように「野外教育センターでの遊び」(活動1)「秋の町探検」(活動2)の活動を位置づけた。
子どもたちは,知多野外教育センターでドングリや松ぼっくりなどの木の実や色づいた木の葉を集めたり,自然に浸り遊んだりする活動をした。また,学校の近くの商店街に出かけ,探検しながらお店にならんでいる商品を調べたり,お店の人に話を聞いたりする活動や実際に祭りに参加する活動を行った。これらの活動をとおして,子どもたちが自ら課題をもつようにしたいと考えた。
(2)ウェビング手法でテーマを広げる(出会う)
これらの活動をとおして,子どもたちの中には,「見つけた木の実や葉で,何かつくってみたい」「お祭りをしたい」「みこしを担いでみたい」「お店を開きたい」などの思いをもつことができた。
そこで,「子ども秋まつりをしよう」というテーマで,子どもたちの思いや願いを膨らませていこうと考えた。授業では,子どもたちの意見を聞き,それらを板書しながら,テーマに対する思いや願いを膨らませていった。
(3)活動の手立てを考える(つかむ)
本単元では,テーマについてウェビング手法を用いたことで,学習活動の全体図(表2)ができた。
そして,全体図の中には,「お店」「飾り」などの六つのサブテーマがあり,これらを順に活動することにした。各サブテーマの活動は,子どもたちが考えたものの中から自分で選択させるようにした。
子どもたちが主体的に活動できるようにするためには,教師の支援が必要となる。子どもたちが活動をスムーズに進められるように,次のことから活動の手立てを考えるようにした。
活動の手立て ◯教科の学習との関連(音楽,図画工作)
◯学校行事との関連(運動会演技「八木節」)
◯学校図書の活用(お店,みこしづくり,衣装づくり)
◯1年生の生活科の学習や子どもたちの生活体験
◯コンピュータソフトの活用(招待状づくり)
また,「つかむ」場では,活動のめあてを子どもたち一人ひとりが考え,全体で交流を行い,全体のめあてを決定した。子どもたちからは,「一生懸命,ていねい,集中,楽しめる,工夫する,仲よく,協力,お客さんに楽しんでもらう」などのめあてが出された。そして,これらのめあてを活動ごとに自己評価や相互評価でふり返るようにした。
(4)子ども秋まつりの準備をする(向かう)
「向かう」場では,「お店づくり」,「出し物」,「衣装づくり」,「招待状」,「飾りつけ」など,「子ども秋まつり」に向けての準備を行った。
「お店づくり」の活動では,次のようなウェビングができた。
子どもたちは,自分のやってみたいお店で活動した。グループの人数は,4〜6人ぐらいが適当と考え,希望の多いグループは,人数を教師の方で調整した。そして,活動の終わりにはふり返りカードに感想を書いたり,自己評価を行ったりした。
(5)活動全体をふり返り気づきを深める(自覚する)
「子ども秋まつり」終了後,子どもたちに自己評価(点検方式),文章完成法,感想の方法でふり返りを行った。
7 おわりに
ウェビング手法は,子どもたちの思いや願いを広めたり,深めたりするうえで有効な手段であると考える。また,ウェビング手法は,子どもたちが,活動の全体像を視覚的に捉えることができるとともに,教師が学習活動を組織するうえでも有効であると考える。