●い〜め〜る

テニスで家族のふれあいを


 いま,テニスはちょっとしたブームだ。漫画で『テニスの王子様』というのがあり,テレビでも放送され,「エースをねらえ!」以来のテニスブームが起きているのだ。テレビの影響力の強さに,あらためて驚かされている。

 だからというわけではないが,最近,私は「親子触れ合いテニス教室」を日本各地でおこなっている。それはテニスというより,テニス遊び的なゲームを親子で力を合わせてやって貰おうという企画だ。テニスの王子様の影響で,テニスをやってみたい小さな子はたくさんいる。しかしテニスは親がやっているか,偶然近くにテニスクラブがあるかでないと,子どもが自分ではじめることの難しいスポーツだ。だから,私がそのチャンスを与えて歩こうと思ったのだ。私の方もいろいろな発見がある。親子でボールを何回打ち合えるかなど,親子いっしょに力を合わせることを子どもはとても喜ぶ。また,親たち対子どもたちの競争が意外と盛り上がる。子どもは親に勝ちたいのだ。親も負けてあげればいいのに,必死で勝とうとするのがまた可笑しい。

 私は,親にテニスを教わり,いっしょに練習して貰い,そしてプロになった。私の家では家族4人でテニスすることが多かった。年末には家族で総当たりシングルス戦をして,掃除係,買出し係,おせち料理づくり係を決めた。優勝者はすべて免除となる。私が海外遠征に行くようになっても,母から「今年はパパがおせち料理係になって,信(兄)ががっかりしてるわよ」という手紙を受け取ったりして,遠征先で大笑いした思い出がある。

 父や母,そして兄とボールを打ち合うことの喜び,私は今頃感謝している。テニスではなくても,家族で同じスポーツをすることの幸せをたくさんの人に味わって欲しい。嬉しそうにお父さんやお母さんとボールを追いかける子どもの笑顔を見ながら,私も子ども時代に戻って楽しくテニス教室をしている。

佐藤直子
 プロテニスプレーヤー。東京都生まれ。12歳で全日本(15歳以下)優勝。16歳から海外遠征を始める。高校在学中に全日本室内など国内の優勝は100勝を超す。77年プロに転向し,翌年全豪オープンベスト8・同ダブルス準優勝など国際的なプレーヤーとして華々しく活躍。91年公式戦から退いた後も,チャリティーテニス大会等において活躍中。また,テニス教室などで全国を回り,テニスファンに指導をしている。
 著書に「楽しく生きるための女性革命」(ぴいぷる社)等がある。

 


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