●生活科実践レポート
生活科でも学校としての
全体計画の作成を〜継続性のある年間指導計画のために〜
前東京都新宿区立落合第四小学校校長
舩田信昭
1 はじめに〜総合的な学習の時間にかかわる学習指導要領の一部改正平成15年12月に学習指導要領が一部改正された。改正の一つに「総合的な学習の一層の充実」が挙げられている。その中に学校としての全体計画を作成することが述べられている。具体的には「各学校においては,学校における全教育活動との関連の下に,目標及び内容,育てようとする資質や能力及び態度,学習活動,指導方法や指導体制,学習の評価の計画などを示す総合的な学習の時間の全体計画を作成するものとする。」と示されている。これは,学校としての基本線として,何に重点を置き,どういう「総合」を展開するのか等を文書として明示するように求めたものと受け止められる。全体計画の作成により,例えば,各教科等との関連をより密接にし,また,子どもにどんな力を付けるのかを,より明確にすることが可能になってくることが考えられる。確かに「総合」についての年間指導計画は,どこの学校でも一応あるだろう。また,多くの学校で単元ごとの評価規準も作成しているだろう。しかし,その年度の担任の意向で,年間計画にない単元を実践したり,単元のねらいとは別のねらいで展開している事例を耳にすることがあるのも事実である。これでは,学校で作成した年間指導計画や単元ごとの評価規準が機能しないことになる。こうした現状から,本来の学習指導要領での「総合」の趣旨が一層いきてはたらくようにするのが今回の改正と考えられる。
さて,「総合」の現状及び学習指導要領の改正内容に触れてきたが,生活科の現状はこうした懸念はないだろうか。私はかなりの部分で,程度の差こそあっても似たことが指摘できると考えている。そこで本稿は,以上のことを生活科でどう対応したらよいのかについて述べることにする。
2 なぜ生活科の全体計画か
(1)生活科の現状における課題
生活科はどの学校も熱心な実践に支えられており,概ね良好な状況といえる。しかし,中には次のような心配な面もある。
@学校の年間指導計画どおりに実践せず,その年度の担任の裁量で大幅に変更したり,全く別の内容を扱っている学校
A「総合」の英語活動を1・2年生で,生活科の時間を使って単元として扱っている学校
B安全が確保できないという理由で,生活科の学習をほとんど教室の中で行い,また生活科のテレビ番組を見せておしまいにしている学校
C単元ごとの評価規準はあっても使われていなかったり,評価の視点があいまいで使えない学校(2)生活科と学力
「確かな学力の向上のための具体的方策」(平成14年1月文部科学省)として5点示されている。例えばその3点目に「学ぶことの楽しさを体験させ,学習意欲を高める」が示されている。これは生活科では,例えばどの単元でも,見る,聞く,触れる,つくる,探す,育てる,遊ぶなどの活動をとおして,学習の楽しさを味わうことや,そのための技能,能力を身に付けること,そして,活動したり体験したりしたことを表現することで,児童の学習意欲が高まることは多くの実践で示されている。このことからも生活科の趣旨に沿った学習を展開することが,学力の向上に貢献することになるといえる。
(3)生活科と評価
生活科では学校の指導計画に基づき,評価の手順をきちんとしておく必要がある。
@単元のねらいを基に,単元及び小単元について観点別学習状況の3観点の評価規準を作成する。
A単元の指導・評価計画の中に,評価の視点や評価方法を明示する。
B授業をとおして各児童の評価記録を累積する。
C小単元ごとに各児童を評価し,単元末に単元の評価をする。
D単元をまとめて学期ごとに評価をし,通知表にいかす。
E学期ごとをまとめて年度末に評価をし,児童指導要録にいかす。この一連の流れを学校としての評価システムとしてきちんとしておく必要がある。実情として,綿密に評価記録を積み上げている先生がいる反面,自分の頭の中に残っていることを頼りに評価している先生もいる。
(4)生活科の全体計画
生活科は学習指導要領に目標・内容が2学年まとめて示されている。それを十分に活用し,学校の特色に配慮して生活科の全体計画を作成する。具体的には,自校の生活科の考え方,各学年の目標・内容,育てようとする資質や能力,学習指導要領の内容にかかわる年間の単元配列や配当時数,評価の計画,他教科等との関連等々である。
各学校では,これまで児童や地域のいろいろな要素を考慮して年間指導計画を作成してきた。しかし,ときには学校として継続性のあるものとなっていない実態もある。これでは,上記の「生活科と学力」「生活科と評価」をクリアすることはできない。また,「生活科の現状における課題」を解決することがむずかしくなる。以上の課題を克服するためにも「総合」で示された考え方と同様に生活科においても文書として全体計画を作成する必要がある。
3 おわりに〜継続性のある年間指導計画を
生活科の全体計画は,学校としての拠り所,基本線ともいえるものである。したがって,全教員の英知を結集して作成することが大切である。そして,十分に活用しながら,年度末に改善していくことも必要である。少なくとも担任の裁量で全体計画にかかわる大切な部分を自由に変更していいことにはならない。また,これからは,保護者への責任ある説明責任を果たすことも大切な要素になる。
既に作成した学校の生活科の全体計画の試案の例を示し,自校のものを作成するときの参考に供したい。