update H20.02.20
「風っ子展」はどのようにして生まれたのですか?
造形「さがみ風っ子展」(以下、「風っ子展」)は、1979(昭和54)年の国際児童年にスタートしました。会場となった公園は、JR横浜線の淵野辺駅から徒歩20分ほどの原っぱで、ヤング広場と呼ばれていました。現在は県立球場や県立高校、銀河アリーナなどの複合スポーツ公園となっていますが、当時は見渡す限り雑草が生い茂り、会場づくりはまさに職員総出の草刈りからはじまりました。「風っ子展」は、愛知県岡崎市の「造形おかざきっ子展」をモデルにしてはいたものの、何もかもはじめてのことで、開催にこぎつけるまで膨大な時間と労力を必要としました。しかし、開催されると、テレビの報道も手伝って続々と人々が訪れ、周辺の道路は混雑し、うれしい悲鳴をあげました。
「風っ子展」の魅力について教えてください。
主に相模原市の小学校(74校)と中学校(37校)から、選抜ではなく、ある学年全員が出品します。会場に置かれた一人ひとりの作品は、まとまって塊になり、群になり、大空へ飛び出し、音を奏でたり、訪れる市民とともに物語を創造しています。平成19年度(第29回展)の初日はこれまで経験したことのない台風に見舞われました。会場はあちらこちらに水たまりができ、小枝が散乱し、作品はひっくり返されました。そこには、日曜日にもかかわらず、朝から補修にかけつけた先生方の姿も見られました。野外展はそこにある大地、空、光、雨、風を通してさまざまなことを経験させてくれます。野外展は自由さにおいて最高のステージです。
作品を展示する上でどのような工夫をしていますか?
作品はブロック(9つの地区)ごとに展示されています。なかでも大沢ブロック(小学校9校、中学校3校)の作品はさまざまで、天を突くような作品もあれば、地を這うような作品もありました。今年はブロックの会場構成のための打ち合わせ会をもち、「どのように作品を見せるか」についてみんなで知恵を絞りました。「風っ子展」の鑑賞は、手に触れたり、音を聴いたり、作品と一緒に楽しむ参加型です。こうしたインスタレーションは、さながらドラマのストーリーを考えるのと同じです。私たちは参観者の目線や通り道を考え、全体を構成しました。作品は輝き、参観者を楽しませました。
小学校と中学校のかかわりについて教えてください。
ブロックごとに年に数回行われる小・中学校の合同会議や合同職員研修会などで、「どのようなテーマにするか」、「どのような課題があるか」といったことを話し合います。小学校の先生たちとの研修会は実に楽しく、大切なものだと考えています。例えば同じ素材からイメージした作品でも、まったく違うことがあるからです。準備過程で必要なことは、作品づくりのしっかりとした見通し(題材や目標)とブロックの先生たちとの研究・研修です。
今年、私が勤務している相模原市立大沢中学校では、「わたしたちの風」というテーマで、紙の筒を使って風の音を聞くという作品を制作・展示し、目に見えない「風」を表現しようという課題に取り組みました。また、大沢中学校の展示場所と桜台小学校の展示場所の間で、風のメッセージをお互いに送り合う「つないで・つないでコミュニケーション」という、小・中学校合同の企画を実現しました。
小・中学校の合同企画には、教え合い、学び合いという本来の学びの姿がありました。小学生が思い描きながらも手に負えない形を、中学生は道具を自在に操り、仕上げてくれます。その行為に感激する小学生。小・中学校が連携しての作品づくりや展示にはそのような魅力があります。
さいごに…
野外展は、図画工作・美術科だけでなく、生活科や理科、技術家庭科、総合的な学習の時間なども、広く視野に入れることができます。このことは、ともに学ぶ力を育成するこれからの図画工作・美術科教育の方向性を示していると言えます。また、小・中学校が繋がること、PTAや「おやじの会」などといった地域と繋がることも重要です。さらに今後、美術館のキュレーターや地域の造形作家たちがブロックに入り、教員と生徒と一緒になって展覧会をコーディネートできたら、さらにひと味違った「風っ子展」になることでしょう。
山本実(相模原市立大沢中学校教諭)
Photos
関連リンク
- ※ 相模原市立大沢中学校の取り組み「わたしたちの風」の詳細は、下記のURLで紹介されています。
「わたしたちの風」トップページ










