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第4回あったらいいな、こんな靴 展~○○になれる靴~

update 2008-08-04

どのような展覧会ですか?

「あったらいいな、こんな靴」展のポスター「あったらいいな、こんな靴」展は、神戸市立本多聞中学校の美術科で平成17年から毎年開催している作品展です。今回で4回目を迎えました。作品は3年生が制作した「あったらいいな、こんな靴」の100点と2年生が制作した「あったらいいな、こんな服」の代表作8点を展示しました(昨年の2年生は「あったらいいな、こんなカバン」を展示しました)。
作品をつくるだけでなく、発表する場を設けることで、生徒がお互いに鑑賞し合えるように心掛けています。また、多くの方に見てもらうことで、いろいろな感想を聞くことができれば、生徒たちへのよい刺激にもなると考えています。
展覧会は毎回、神戸市長田区の「シューズプラザ」で開催してきました。シューズプラザは、阪神淡路大震災からの神戸のケミカルシューズ産業の復興と靴のまち、長田の活性化を目指して誕生した施設で、その名の通り何軒かの靴屋さんが入ったショッピングセンターです。靴屋さんで「靴」の展示ができるわけですから、これ以上の会場はないと思っています。また、シューズプラザさんには、ポスターから作品のディスプレイにいたるまで、第1回目からお世話になっています。

地域とのかかわりについて教えてください。

会場風景神戸は言わずと知れた日本でも有数の港町、海外からさまざまな新しいものが真っ先に入ってくる街です。そのため、神戸には日本初というものがたくさんあります。そういった土地柄で今日まで神戸を支えてきた地場産業の一つに「ケミカルシューズ」があります。神戸のケミカルシューズと言えば、全国の生産高の約80パーセントを占めており、東京の銀座でも名が通っているほどです。神戸で生まれ育った生徒たちが靴のデザインを考え、そして制作することは、地域の産業である「靴」のことをより深く考えることができる、またとない経験になるのではないかと考えました。
ところが、生徒に「神戸といえば何?」という質問を投げ掛けてみても、「神戸牛」「瓦せんべい」「神戸ワイン」といった具合に、食品しか出てきませんでした。「食べ物しかないの?」とさらに聞いても、「ポートタワー」「六甲山」「神戸港」と一向に靴にはたどり着きません。どうやら私たちが子どものころとはすっかり様変わりしてしまったようです。私が子どものころは「京都の着倒れ、大阪の食い倒れ、神戸の履き倒れ」とよく言ったものです。そんな生徒たちに、この授業を通して、もっと神戸を知り、ふるさと神戸に対して愛着を持つきっかけになればとも願っています。

どのような作品がみられましたか?

作品『ゴージャスになれる靴』今回のテーマは「○○になれる靴」です。長靴を買ってもらって雨が待ち遠しくて仕方がない子どものように、履くのが楽しみになる。そんな靴を生徒たちが考えました。《ゴージャスになれる靴》はかかとの部分にセロハンを使って透かしを入れ、黒を基調に大人っぽく豪華さを引き立たせています。《河童になれる靴》は、ソールを足ひれの形にし、甲にはトレードマークのお皿をアクセントに、水中を自由に泳ぎまわれるイメージになっています。《パンダになれる靴》は、前面にかわいらしいパンダの顔、横にはピアノの鍵盤、かかとにはハイビスカスの花。これを履くと、とても楽しくて愉快な気持ちになれそうです。

授業での工夫について教えてください。

実際に靴を分解して、靴がどんなパーツからできているかを見せたり、以前、西宮市立大谷記念美術館で開催されたオランダの靴デザイナー「ヤン・ヤンセン展」の作品を鑑賞、紹介することで、発想の手がかりとしました。
また、素材としてダンボールを使用していますが、学校の中でこれほど手に入りやすい素材はありません。加えてダンボールはいろいろな使い方ができます。切ってよし、剥がしてよし。シュレッダーにかけると細かくすることもできます。さらに、ミキサーにかければ粘土のような使い方もできます。木工用ボンドを混ぜて固めれば糸のこで切ることもでき、サンドペーパーをかければつやも出せます。セット教材は誰でもきれいつくることができ、失敗が少ないかもしれませんが、身近にある素材を利用して、いろいろな使い方を試すことができるということが、子どもたちの創造力の育成や素材体験の面からもよいと考えています。

「あったらいいな、こんな服」についても教えてください。

作品『神戸スイーツ』
神戸には、「神戸ファッション美術館」があるなど、ファッションの街としても知られています。神戸で生まれ、神戸で育った生徒たちは、知らず知らずのうちに新しいファッション感覚が身についていると思います。2年生の「あったらいいな、こんな服」の授業は、生徒たちのそんなファッションに対する感性が引き出せたらと考えました。
今回のテーマは「神戸を着る」です。アイデアを練るために、まず「神戸の形」を探す活動をしました。ある作品では、「神戸スィーツ」からいちごショートケーキの形をモチーフにしました。またある作品では、神戸が“日本におけるジャズ発祥の地”ということから、音楽の「ジャズ」から形を探りました。胴の部分にはピアノ、袖にはサックスやクラリネットなどがあしらわれています。
作品『JAZZ』 また、服の制作には、家庭科と協力し、「被服」の単元と連携した授業を行いました。それは、美術科でデザイン画と素材の準備をし、家庭科で制作するというものでした。デザイン画は、ファッションデザイン専門学校からゲストティーチャーとして専門の先生を招き、参考作品などをもとに中学生にも分かりやすく指導していただいたり、制作方法などについてもアドバイスをいただいたりしました。

今後の展開について教えてください。

会場風景今回、「あったらいいな、こんな靴」のデザイン画の何点かを「ファッションシューズコンテスト」(主催:日本ケミカルシューズ工業組合)という一般のコンクールに応募してみました。結果は残念なものでしたが、応募した生徒たちからは今まで以上にやる気を感じることができました。次回は全員参加も考えています。一般のコンクールなので大人も大勢参加しますが、目標はあくまで入賞です。
「あったらいいな、こんな服」では、当初の目標は完成した服でファッション・ショーをすることでした。ところが、形にはできたのですが、実際に着ることができませんでした。楽しみにしていた生徒も大勢いましたので、次はぜひ実現したいと考えています。 また、今回は招待作品というかたちで、神戸市立住吉中学校の美術部のダンボールでできた靴の作品も一緒に展示しました。制作コンセプトの違いなど、お互いに学ぶところがありよかったと思います。こういった他校とジョイントすることで、互いに刺激し合えるのも楽しみの一つです。

畑本一幸(神戸市立本多聞中学校)

Photos
  • 会場風景「パンダになれる靴」や「キリンになれる靴」など楽しい作品がたくさん出来ました。
  • 会場風景
  • シューズプラザの外観
  • 作品『河童になれる靴』
  • 神戸ファッション専門学校からゲストティーチャーを招いて、デザイン画の授業風景です。
  • 神戸スウィーツをテーマに神戸を形にしました。
  • 神戸は日本のジャズ発祥の地。ジャズをテーマに神戸を形にしまた。
  • 第1回「あったらいいな、こんな靴」展会場風景(於シューズプラザ)
  • 第2回「あったらいいな、こんな靴」展会場風景(於シューズプラザ)
  • 第3回「あったらいいな、こんな靴」展会場風景(於シューズプラザ)
関連リンク
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