update 2008-11-17
「京都市小学生アイデア展」はどのようにして生まれたのですか。
「京都市小学生アイデア展」(以下、アイデア展)は、京都市で開催される子どもたちの「動くおもちゃ」の展覧会です。
かつて図画工作は、図画と工作という別々の教科として週2時間ずつ行われていましたが、昭和22年の学習指導要領の改訂に伴い一つになり、教科名が図画工作科となってから週2時間になりました。当時の文部行政は、アートアンドハンドクラフトと示された教科内容を美術にするか、造形とするか等々十分審議する時間がないまま図画工作として出発しました。京都では当時の図画工作科の実状から、昭和35年に
京都市図画工作教育研究会に機工サークルが誕生し、翌年の昭和36年1月に「全京都学童機工展」が発足しました。第1回は、研究授業等、子どもの試作品を各地小学校の一室に展示し、機工学習作品センターとして公開されましたが、予想外の反響で20回まで続きました。昭和52年に学習指導要領が改訂され、昭和55年からの施行にともない「京都市小学生アイデア展」と名を改め、今年で29回目、「全京都学童機工展」から通算49回目を開催しました。この間、子・親・祖父母と3代にわたって出品されている家族も多くあります。
アイデア展の魅力について教えてください。
アイデア展は、京都の子どもたちが、つくることを通して明日に向かって力強く成長していくことと創造的で個性豊かな人間性の育成をめざしてきました。
作品は、『動くおもちゃの文化は京都から〜生きて働く知恵づくり改訂版〜』(京都市教育委員会・京都市図画工作教育研究会発行)の資料に準じて制作され、子どもの豊かなアイデアがみられる「動くおもちゃ」を下記の部門にわけて展示しています。
<第1部>一般公募作品
身近にある材料を素材にして創意工夫した各校の推薦作品を運営委員会で審査し展示しました。
<第2部>教室指導作品
図画工作科の学習の中で、子ども一人ひとりが自分の夢や思いを込めてつくりあげた作品です。素朴な中にわずかな動きの違いや運動・変化のおもしろさを自分なりに見つけ出し、表現に結びつけた学習過程を見ることができます。
<第3部>環境にかかわる作品
空き缶・ペットボトル・牛乳パック等に少し手を加えるだけで大変身します。アイデア一つですてきな作品になります。
<第4部>
運営委員が教材開発をした資料作品や「動くおもちゃづくり」を通して、子どもたちのモノづくりへの興味・関心を高め、創造性、主体性や社会性を培うとともに、図画工作教育の一層の充実を図るため、平成21年2月1日開催予定の第3回『「至高の動くおもちゃづくり」グランプリ小学生全国大会in KYOTO』の資料作品も展示しました。
どのような作品が見られましたか。
今年度は、子どもの主体性・個性を重視するとともに、工作的分野の重要性が明記された学習指導要領の趣旨が定着してきたこともあり、多種多様で子どもたちの夢やおもいがあふれるような作品が多くなりました。また、環境教育の取り組みから発展して空き缶・ペットボトル・牛乳パック等を利用した作品も多くなりました。
参加校158校、応募点数は各校での第1次審査を考えますと大変な作品数となりますが、1772点の中から運営委員が審査を行い、812点を展示しました。
作品を展示する上でどのような工夫をされていますか。
作品は、部門ごとに、学年ごとに展示されています。
会場の入口には、動かして楽しめる大型の動くおもちゃを展示しました。また、資料作品は子どもたちが、いろいろな動く仕組みを手に触れ、動かしてみて理解できるように展示しました。
今後どのような展開を考えていますか。
京都市図画工作教育研究会では「動くおもちゃづくり」に関する指導・研究の一層の充実を図るため、『生きて働く知恵づくり』(第1集〜5集)の編集・改訂を行いました。平成18年に、約45年にわたる実践・研究の成果をまとめ、『動くおもちゃの文化は京都から〜生きて働く知恵づくり改訂版〜』を編集しました。これを契機に「動くおもちゃづくり」を通して、子どもたちのモノづくりへの興味・関心を高め、創造性、主体性や社会性を培ってほしいと思います。また図画工作教育の一層の充実を図るため、産学公連携・市民ぐるみにより、伝統産業から先端技術産業が共生し、相互にきめ細かく支え合う「ものづくり都市・京都」の特性を生かし子どもたちがモノづくりを学び・体験する機会を創出する「京都こどもモノづくり事業」の一つとして平成19年2月に第1回『「至高の動くおもちゃづくり」グランプリ小学生全国大会in KYOTO』の開催を企画しました。180名の参加者(他府県からの参加含む)の下、
成功裡に終わりました。
この大会は、与えられた動くおもちゃではなく、自らの手(試行)と頭(思考)と心(志向)を駆使して手づくりの動くおもちゃをつくり、その作品で競技をします。
主な内容
- (1) 事前にゴム動力の仕組みを使って動く車をつくって参加します。
- ※車体寸法および主な材料には規定がありますが、それ以外は創意工夫して制作します。
- (2) 4部門のいずれかにエントリーし、競技をします。
-
- 「ハイスピード(速さ)」
- 「ロード(距離)」
- 「アクション(ユーモラスな動き)」
- 「ビューティフル(美しさ・デザイン)」
第3回『「至高の動くおもちゃづくり」グランプリ小学生全国大会in KYOTO』は平成21年2月1日開催予定です。全国の子どもたちの参加をお待ちしています(詳細は、京都市図画工作教育研究会HPのイベント募集要項をご覧ください)。
さいごに
平成21年度は、機工展・アイデア展通算50回目になります。一口に通算50回(半世紀)と言いましても、一回一回の積み上げを回顧しますと、よくもここまで続いてきたものだと思います。「全国唯一」 多くの方々に協賛、指導助言をいただいたからこそでありますが、何と言っても主役は、
この展覧会にかかわった子どもたちであり、子どもたちを育ててきた先生方の熱意と奉仕にほかならないと思います。
平成23年度から施行される新学習指導要領(図画工作科)では、工作分野の動くおもちゃに関して重視されています。今後もアイデア展が単なる提案や評論を越えて、「モノづくりは、人づくり」の精神のもと、「つくること」の喜びを伝えるとともに、創造的で個性豊かな人間性の育成をめざし、子どもたちの創造性を沸き立たせる大きな知恵の泉であり続けることを願っています。
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関連資料
関連リンク
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- Vol.7「表現者たち…ゆらぐ境界を越えて」(うちわ美術館・埼玉県さいたま市)
- Vol.6 第4回 「あったらいいな、こんな靴」 展−○○になれる靴− (神戸市長田区シューズプラザ)
- Vol.5 よみがえり展〜一度死んだ物たちが、中学生のココロを通って、お寺でよみがえる(小布施町曹洞宗玄照寺境内・長野県小布施町)
- Vol.4 廃材アート2008(リフレッシュプラザ、東和田情報ステーション、長野市役所2階渡り廊下・長野県長野市)
- Vol.3 アーティスト・イン・スクール2007「カワグチ絵話教室」(川口市立東中学校、川口市立アートギャラリー・アトリア・埼玉県川口市)
- Vol.2 第29回 造形「さがみ風っ子展」(淵野辺公園、女子美アートミュージアム・神奈川県相模原市)
- Vol.1 第44回 造形おかざきっ子展(おかざき世界子ども美術博物館広場・愛知県岡崎市)
