基本方針 | 平成21~22年度用教科書
清水毅四郎
滋賀大学教授
激動的な幕開けを見せる21世紀の世界と日本ですが、「小学社会」は、発刊以来、一貫して大切に掲げてきた「人間の尊厳・人権の尊重」の理念を基本に据え、今世紀最大の課題の一つである「環境の保全・保護」を自分自身との関わりで主体的に考え、行動していく子どもたちの育成を願って編集してきました。その基本概念を引き続き堅持しつつ、次の方針のもとに編集しました。
社会科の学習指導の結果として求められる「確かな学力」とは、知識や技能のみならず、思考力・判断力・表現力・課題発見力・問題解決力などを含むものであります。その学力を育成していくためには、何よりも子どもたちの学ぶ意欲と学び方を重視しなければなりません。今回、社会科の学習をより拡大し、より深化できるページとして「大きくジャンプ」を巻末に示しました。このような構成により、学習指導要領に示す基礎的・基礎的な内容の確実な定着を図るとともに、子どもの実態や指導内容に柔軟かつ多様に対応し、「個に応じた指導」の工夫による「わかる授業」の実現に配慮しました。
具体的には、一人一人の子どもの個々の問題づくりを大切にした問題解決学習の推進にいっそう努めています。メインキャラクターの児童の活動を中心に、身近な社会的事象や事実に対して自分自身との関わりで関心・意欲を喚起し、問題を発見し、その解決のための見学・調査をし、そして思考・判断し、知識・理解を獲得していきます。この一連の学習過程を相互媒介的に成立させていくために、以下の工夫をしています。
- 見開きごとの「わたしの問題」と「わたしの気づき」との連続的対応性への配慮
- パノラマ写真や折り込みなどを利用した、興味深い教材の提示
- 「見学で気をつけること」「グラフのつくり方」「人物調べ」などのポイントを示す「学び方・調べ方」コーナーの配置
- アトムらの書き込み作業による子どもたちの思考への誘い
- 単元末に自分自身の学習を振り返る「たしかめよう」の重視、など
子どもたちが、今日的な問題を地域から世界へ、過去・現在から未来へと目を向け、共同して追及しつつ、他との関わりを意識して自分自身を見直す、こうした社会科授業をめざしたいという願いが、わたくしたちの教科書編集の根底にあるのです。「総合的な学習の時間」もその過程で生かされると考えています。
