小学校 図画工作

小学校 図画工作

校内展 展示の工夫(全学年)
2015.02.09
小学校 図画工作 <No.036>
校内展 展示の工夫(全学年)
東京都八王子市立みなみ野君田小学校 時任勝

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

展覧会の工夫

 展覧会は日常の造形活動を一挙に見ることができる、一つのまとまった鑑賞の場です。表し方の違いや工夫など、様々な表現に興味を持つきっかけとなることでしょう。
 また、保護者や地域の方々に、学年に応じた表現の深まりや造形的な力を鑑賞していただける良い機会です。楽しかったことや工夫したこと、そのときに考えたことなど、様々な子どもの活動の様子を読み取ることができます。
 展覧会の会場は、体育館になる場合が多いと思います。この広々とした空間での展示となりますから、大きな空間や場所の特徴を生かした展示の工夫が必要になります。会場に全学年の作品を並べるだけでなく、その作品の良さが引き立つような会場をつくりたいものです。会場づくりは、造形遊びなどを生かして、体育館の内外を非日常的な造形空間へと激変させる試みを展開してほしいと思います。
 いつもの体育をする空間が、造形的な空間に生まれ変わる過程を子どもたち自身が体感することで、子どもたちはいっそう図画工作科の楽しさを実感することでしょう。

会場をつくる(モモイロウォール)

 会場にトイレットペーパーを利用した大きな壁をつくります。
 トイレットペーパーは色水で丸ごと染めます。乾いたら,床に敷き詰めて両端をロープに固定します。ロープは,両端を予め天井の梁などを利用して通しておきます。最後に片方のロープから順に引っぱり,天井に引き上げて完成です。

 モモイロウォールは大きなインスタレーションとして、インパクトがあります。光の状態により,設置場所や一日の時間帯によっても,印象が刻一刻と変化することを楽しむことができます。単なるトイレットペーパーですが,大量に,しかも形状を変えて展示することで、非日常的な空間に生まれ変わります。

青い色に添めた,ブルーウォール

トイレットペーパーに紙を貼り付けたウォール

ブラック&ホワイトウォール

 白と黒の半透明ビニルシートにガムテープを使って絵をかきます。ガムテープは白と黒を準備します。はじめに隣のビニルシートをガムテープでくっつけます。絵はぶっつけ本番です。その場でグループごとに話し合って進めていきます。
 出来上ったら,予めギャラリーの上を通したロープにビニルシートの一番上を固定します。最後に,ギャラリーの左右からみんなで引っぱり立ち上げます。

展示の工夫

 作品を展示する台を自分たちでつくります。段ボールなどの加工しやすいものを利用しています。

 段ボールは何個かくっつけたり、単独でつくったりします。使い勝手がよいのは単独の方でした。会場のレイアウトが様々にできて動かしやすいと思います。

 色を付けますが,台の役割をしつつ,これだけでも存在感のある作品として仕上げます。ただ,飾る作品の邪魔にならない程度の模様や色などを考える必要があります。

 作品は展示される環境によって,印象が変わります。作品のよさが引き立つ工夫を考えました。
 モモイロウォールやブルーウォールを背景に,発泡スチールの上に展示しました。

 不定形にした発泡スチロールを台にして独立した形で展示します。

 絵と立体が一緒に展示できる発泡スチロールの展示台をつくりました。絵,半立体的な絵,立体など,様々な組合せで,レイアウトを工夫することができます。

展示会会場(体育館)へ続くアプローチ(1)

 大量のフィルムケース(今はもう手に入りませんね)を利用して外から体育館の玄関まで並べたり,積んだりしながらつなげていきます。

 体育館玄関の靴箱も造形的な遊びができる場所です。

 なんでもない体育館の玄関が,少し表情を帯びてきました。

展示会会場(体育館)へ続くアプローチ(2)

 紙は扱いやすい材料なので,加工を工夫すると様々な表情に変わります。紙を使って,天井や床,壁や靴箱など様々な場所に働きかけます。

 体育館の入口には靴箱があります。薄暗い場所ならば,LEDライトと紙などを組み合わせると光の空間もつくれます。

 ペットボトルの中にカラーセロハンと水を入れます。LEDライトの上に置くと様々な色に変化する様子を楽しめます。そのまま,太陽光を利用して楽しむこともできます。

展示会会場(体育館)へ続くアプローチ(3)

 体育館の入口付近です。靴箱のようなものがありません。そこで,天井と床を利用します。ポリ袋をはさみやカッターナイフで切ったり手で裂いたりした帯状のものを使って,天井と床をつなげます。天井からビニルを様々な方向に伸ばして床に固定します。足りなかったら結んで長くします。

空間ストライプ

 体育館の床にビニルシートを敷き詰めて,ガムテープを使って文字や絵をつくります。

 体育館と校舎の間にロープを掛けておきます。そこにビニルシートを固定して,両側から引っ張りあげます。

 空間ストライプの出来上り!!間をくぐったりして楽しめます。
 風に柔らかくなびくところも楽しめます。

 裏の方には,木のアクセントがありました。

ムスンダアート

 大量のビニルのゴミ袋を,手でしっかりと結びます。結びながら体育館のフロア全体に広げます。結び終わったら,予め天井の梁などを利用して通しておいたロープに結びつけます。そのロープをギャラリーからみんなで引っぱります。すると,フロアで結ばれたビニル袋が空間に浮き上がっていきます。巨大なゴミ袋の塊が空間に留まっている様子は,とても美しく,光によっても様々な表情を見せます。

展示会の様子