小学校 図画工作

小学校 図画工作

「切ってつなげて木の世界」(第3学年)
2015.07.06
小学校 図画工作 <No.039>
「切ってつなげて木の世界」(第3学年)
新潟県聖籠町立山倉小学校 鈴木円

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「切ってつなげて木の世界」

2.題材の価値とねらい

 3年生が始まったばかりの頃、子どもたちの中には粘土で何かをつくるときに、絵をかくように平面的な作品になっている子どもがいた。このような子どもたちに、立体作品をつくる力を付けていきたいと考えた。木という材料は、様々な大きさや形に切ることができ、木工用の接着剤や釘で接着できるよさがある。また、のこぎり、金づちなどの用具を使うことで、子どもたちの創造的な技能も高まると考えた。

3.題材の観点別評価内容

【造形への関心・意欲・態度】
 木に親しみ、木を使って形をつくることを楽しもうとしている。

【発想や構想の能力】
 いろいろな木材を組み合わせながら、つくりたいものを考えている。

【創造的な技能】
 つくりたいものに合わせて、用具、材料の使い方を工夫している。

【鑑賞の能力】
 自分や友だちのよいところや工夫したところを見つけている。

4.学習の流れ

〈用具・材料〉
教師:
木材、のこぎり、釘抜き、木工用接着剤、釘、粘着テープ など

児童:木材、木の実(松ぼっくり、どんぐりなど)、木の枝、つまようじ、割り箸、木のボタン など

〈材料の準備〉
 活動に入る2ヶ月ほど前に、子どもたちに、「切ってつなげて木の世界」という工作をすることを伝え、木材や飾りとして使える木の実などを集めるように話した。
 また、保護者にも協力を得るため、学級便りでどのような工作をするかや、どんな材料があるとよいかを知らせた。事前に子どもたちや保護者に知らせておいたことで、十分な木材と飾りに使える木の実などを準備することができた。

〈導入時の工夫〉
 粘土で積み木をつくり、それをどんどん積んでいき、立体をつくった。粘土で積み木をつくることから始めたのは、2年生の頃から粘土を使って何かをつくることに熱中する子が多かったからである。また、木で立体をつくることへの橋渡しになると考えたからである。
 子どもたちは、粘土で正方形・長方形・台形・円柱など様々な形の積み木をつくり、どんどん付けていった。「木でもつくれそう!」「面白そう!」と子どもたちは言い始めた。

〈展開と活動の広がり〉

(1)のこぎりの使い方を知り、のこぎりで切る。
[児童の活動]

・実際に教師の切り方を見て、のこぎりの持ち方と木の押さえ方、ひき方を学んだ。
[教師の支援]
・初めて使う子どもたちが木を切りやすいように、小さめののこぎりを用意した。
・長い木切れ、短い木切れ、いろいろな大きさの木切れになるようにした。
・木を斜めに置いて切ると、斜めに切れたり、三角の形になったりすることを理解するようにした。
⇒初めて木を切る子どもが多かったが、いろいろな長さや形に切れることが楽しくなり、みんな大喜びで木を切っていた。

(2)金づちの使い方を知り、金づちでくぎを打つ。
[児童の活動]

・実際に教師の金づちの使い方を見て、金づちの持ち方、釘の押さえ方、打ち方を学んだ。
[教師の支援]
・釘が曲がらないように打つことを大切にした。
・釘は接合だけでなく、飾りにもなることを理解するようにした。
⇒始めのうちは釘を打つと曲がってしまう子どもがいたが、試しながら、まっすぐに打てるようになってきた。釘をひげやとげに使うなど、飾りとして使った子どもの作品を全体に紹介した。

(3)切った木切れでつくりたい物をつくる。
[児童の活動]

・一人ひとりが木切れをどんどんつなげて、つくりたい物をイメージしていった。
・自分の作品ができ上がった子どもたちから、「友だちと一緒につくってみてもいいですか?」という声が上がった。そこで、「ぼくらのモンスターワールドをつくろう」(日本文教出版株式会社 図画工作 教材のアイディア《立体表現編》に掲載)という実践の中の共同作品を子どもたちに紹介した。そのモンスターを見た子どもたちは、「自分たちもつくりたい!」と、ますます意欲的になった。子どもたちは、男女問わず「一緒につくろう!」と声を掛け合い、夢中になって作品をつくっていった。
・友だちと一緒に「どうやってくっつける?」「こうしよう!」「いいね!」などと喜んで知恵を出し合っていた。でき上がった作品は、1人では考えつかないようなアイデアがあり、ダイナミックなものが多かった。
[教師の支援]
・つなげるときには、接着剤や釘を使うようにした。接着剤が乾くまで、粘着テープで固定して、子どもたちがどんどん進められるようにした。
・子どもたちの発想を大事にし、個々にがんばりやよいところを褒めることに努めた。
・一人ひとりが自分の作品をまずつくり上げる。終わった子どもは、友だちと一緒に作品を作ってよいということにして、発展的な活動を取り入れた。
⇒子どもたちは、たくさんの木切れをよく見て、つなげ方を考えて夢中になり、どんどん立体作品をつくっていった。

(4)自分や友だちの作品のよさを発見する。
[児童の活動]

・友だちが一生懸命につくってきたことがわかっているので、作品を興味深く鑑賞していた。

5.完成作品