ブックタイトル中学校美術 マンガで解決!指導の悩みABC
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中学校美術 マンガで解決!指導の悩みABC
ここがポイント! 美術の授業では、表現と鑑賞の活動を行います。そうした活動が授業時間に行われていれば一見「美術の授業」であるように思われがちです。しかし、美術の授業は活動を行うだけではなく、その活動を通して子どもたちの心の中に何を育むのか、というねらいが必要です。子どもたちの心の中に育つもの(資質・能力)は、なかなか現象としてとらえづらく、評価しにくい場面があります。しかし、学習の中にねらいがあって初めて本来の指導・評価ができるのです。子どもたちが集中して楽しそうに造形活動を行っていたとしても、それによってどのような学習ができ、その結果、何が子どもたちを支えていく力となるのかを理解していないと、せっかく育とうと芽を吹いた子どもたちの学びを育てないまま枯らしてしまうことにもなりかねません。 また、ねらいはあってもその視点がずれてしまうことにも注意が必要です。「こんな作品をつくらせたいな。」と教師が作品の完成イメージを強く持つあまり、子どもたちをそのレールに無理やり乗せてしまうことがあります。いくら活発に活動しているように見えても、子どもたちの主体性を前提とした自由な発想や新たな学びを追求しようとする姿がなければ、それは美術の学習ではなく、教師のイメージしたものをつくるための単なる作業になってしまうのです。 美術という教科、そして造形活動によりどんな素敵な力を育むことができるのかを見定め、それを授業のねらいとして学習の中心に据える必要があるのです。 授業のねらいの大切さ何を「ねらい」とするか何を感じ、どんな体験を積み重ねてほしいか 美術という教科は、ある程度教科書に沿って学習していく他教科とは異なり、授業者自身が題材設定を行わねばなりません。これは裏返せば、授業者の思いをダイレクトに反映できるということでもあります。この点が、私が美術という教科に最も魅力を感じている点です。 若い頃はそれを逆手に取り、自分自身が制作したいものを題材化した授業を行っていました。しかしそこには「生徒に育成させる資質・能力」という視点が抜け落ちていました。もちろん題材には生徒に「やってみたい」と思わせる魅力が備わっていることが大切ですが、ただ楽しいだけではなく、その授業のねらいを明確にした上でそこに学びがあるように全体を構成、精選することが重要です。 例えば「木でつくるオリジナルバターナイフ」という題材について私がまずおさえたいのは、「木育」と言われる視点を持つことです。まず住宅や家具、日用品の小物など、木材は生活のさまざまな場面で生かされていることに注目させます。次に工芸という分野に注目させ、柳宗悦の思想や「用と美」という観点から自分が使いたい(使いたくなる)デザインを発想・構想していきます。その際、家庭で使っているバターナイフや市販されているもののデザインを観察、取材することも大切です。 技術的な面では、天然木の木目の方向を意識して、小刀の使い方をマスターさせたいという思いがあります。そして、完成させた後は「実際にパンにジャムを塗って食べる」という過程を仕組むことで、「使いやすかった」「使いにくかった」など実感させます。すると、みな一様に自分がつくったバターナイフを実際に使うことを大いに楽しんでいることが感じられます。こうした体験を積み重ねることで、生活に息づく美術に触れ、生涯にわたって生活を豊かにすることにつながっていくと信じています。 例えばほかの先生はどんな授業をしているのでしょうか?美術のねらいが大切なのはなぜ?南砺市立福野中学校藪 陽介先生17指導の悩みABC18