ブックタイトルどうとくのひろば No.14
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どうとくのひろば No.14
れつき備わっている場合の方が嫉妬心を正当化しやすく,いじめにつながりやすい。このタイプは,その能力に劣る者が連携して優者を排除することによって自己肯定感を回復しようとするものである。だから教えるべき基本的ルールは,第一の類型と同じく,個の尊重であるが,あわせて,嫉妬心は向上意欲を刺戟するエネルギーに転化すべきであり,自己の能力を伸ばしてトータルな個人としての魅力を高めるべきことを教えてほしいと思う。第三の類型は,異者排除型である。人種,国籍,性別だけでなく,容姿(障がい等)や出身地,戸籍等について,自己の所属する集団に共通する特性と異なる特性を持つ者を集団的に排除し,攻撃するいじめである。このタイプは,集落,学級から国家に至るまで,自己が帰属する(と信じている)集団の特性に反する者を異者として排除することにより,その集団の中における自己肯定感を得たいと望んでいる。だから,教えるべき基本的ルールは,あらゆる他者に対する個の尊重である。個人間の差別感情はかなり克服されてきているが,国家間,民族間の集団心理による差別感情の克服が遅れている。戦争は殺人であり,個人に対する暴力以上に悪であるという道徳を教えるべきであろう。第四の類型は,第三の類型の特殊型といえるのであろうが,協同作業阻害者排除型である。学校でも企業でも同じであるが,協同作業における役割を果たさないため,協同者の怒りが高じていじめに至るタイプである。この場合,協同作業に努力した者は被害者であるため,いじめの動機に酌むべき事情がある点が特徴である。しかしながら,この場合も,個の尊重,つまり,他者を不当に傷つけてはならないという基本的ルールはゆるがないのであって,これに対するいじめは,私的制裁として許されないことを教えなければならない。以上をまとめていえば,いじめをなくす道徳教育は,どんなに自分と異なっていようと,すべての他者を,それぞれ個人として尊重すべきことを教え込むことが基本である。あわせて,自己肯定感は,向上心に基づく自己研鑽と他者の向上に対する協力によって高めるべきものであって,弱者に自己の優越感を誇示したり,優者の排除や異なる集団への差別により自己肯定感を高めること,さらに,劣者に私的制裁を加えることはいずれも,生き方のルールに反することを教える必要があると考える。加えていえば,いじめは人の持つ自己肯定欲の過剰,不当な発現であるから,ストレスはこれを抑制する心の力を弱め,いじめを助長する。したがって,それぞれ個人がのびのびと自己の力を発揮できる環境を醸成し,ストレスを弱めることが重要である。ストレスをためた大人が集団で民族差別行動を行う姿は,子どもの道徳心を大きく害うであろう。そこな1