ブックタイトルどうとくのひろば No.14
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どうとくのひろば No.14
は当面伏せておく。ただし,この場合の「作者」とは絵画や「心の色図」の制作者のこと。以下同様。)・教師は,生徒の発言に対して「うーむ」「なるほどねぇ」などと言い,常に受容的態度をとる。・巧緻性は問わない。・作品に対するイメージに関する発言に対して,「それは絵のどの部分から思ったの?」「この色ですか?」などと聞き返し,具体化したり,位置づけたりする。・絵から読み取れた事象に基づいて,作者の意図をみんなで推理していく。・ある程度意見が出尽くしたら,作者の意図を知らせる。ただし,敢えて知らせずに終えることもある。指導者の立場から見ると,これらの類似点は,両者とも教師がファシリテーター役になることを示している。つまり,教師は話し合いを運営することに加え,生徒が持っている力を引き出す支援者の立場の存在でなければならないということである。このやり方は,両者とも往々にして生徒から明快な答えが出ないものである。しかし,それだけに同じ「悲しい」という感想であっても,制約無く色や形で表したものは一人一人が違った表現になり,その差異から様々なニュアンスの「悲しい」を読み取ることが可能になる。これまでは「教師が満足する答えが生徒から出てくるのがよい授業である」となりがちであったが,教師がファシリテーターとなるこの方法であれば,生徒一人一人の心の中の微妙な違いを浮き上がらせること,むしろ教師が予期せぬ答えが出てくることに価値があるとも言える。ただし,内容項目を前提に行う道徳の時間においては,「教師が予期せぬ答えが出てくる」ことは,話題を内容項目に焦点化していくにあたって技術を要する。読み物資料の分析を十分行い,どのような答えが想定されるのかを指導者がしっかり持っておくことが重要であろう。3対話型鑑賞のスキルを生かす利点ある文献によると,「対話型鑑賞」について日本での普及活動を行ったアメリア・アレナス氏の考えとして,観察力,判断力,それを考えにまとめる力,そしてその考えを言葉を駆使して表す力,さらに多様な価値観を認知する力が育つとのことである。非言語による表現を言語化し,さらに交流することによってもたらされるこれらの能力は,美術科のみならず道徳の時間においても身につけるべきであり,新しい学習指導要領に盛り込まれる内容の方向性とも合致するものであると考える。また,今回「特別の教科道徳」となることにより,「一部改正学習指導要領」における内容の指導に当たっての配慮事項として,「意義について,生徒自らが考え,理解し,主体的に学習に取り組むことができるようにすること。」と示された。このことについて,「対話型鑑賞」のスキルは有効な手立てになるものと考える。【参考文献】・『中等教育資料』平成27年6月号学事出版・『子どもの絵の見方』奥村高明著東洋館出版・『みる・かんがえる・はなす』アメリア・アレナス著木下哲夫訳淡交社7