ブックタイトルどうとくのひろば No.16
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どうとくのひろば No.16
しまつねお畿央大学大学院教授島恒生-島先生による総括「『特別の教科道徳』の指導方法・評価等について(報告)」を受け,平成28年7月29日に出された文部科学省初等中等教育局長通知は,道徳科の評価の基本的な考え方を示すとともに,多様な指導方法の確立や評価の工夫・改善に向けた積極的な取り組みを求めています。今回,提案していただいたモデレーションの取り組みは,みんなで組織的に取り組むという点も含めて,たいへん有意義なものであると考えます。道徳性の評価は,人格的な触れ合いによる共感的な理解を基盤とし,児童生徒が自らの成長を実感し,さらに意欲的に取り組もうとするきっかけとなるような評価を目指すことが求められています。具体的には,学習活動における児童生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を,個人内評価として丁寧に見取り,記述で表現することが適切とされています。そのためには,まず,登場人物の心情理解のみに偏った授業や分かりきったことを言わせたり書かせたりする授業を克服し,一人ひとりの子どもが,より多面的・多角的な見方へと発展する授業や,道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めることのできる授業を積み重ねることが大切です。そして同時に,それを見取る力を教員は磨いていかなければなりません。今回,提案してくださった手法は,子どもの書いたものから,その子の学びの捉え方を見取り,整理するものでした。当然,教員によって違ってきますが,こうしてそれぞれの捉え方を出し合うことで,何より,教員自身に多面的・多角的な見方が育ちます。さらに,時系列で並べたことで,一つの時点だけでは見取れなかった,子どもの育ちが見えてきました。道徳の評価は,個人内評価ですから,その子どもを評定するものではありません。その子どもの捉え方が,これまでに比べて,どのように広がったり深まったりしたのかを見取ることが必要です。したがって,このように並べてみるのは有意義なことです。なお,今回のA~Cの違いは,道徳的価値についての捉え方の違いというより,授業の中で心情理解にとどまったか,自分との関わりで考えられたかといった違いになっています。その分,授業の課題や改善点が見えたということです。そして,時系列での成長は,子どもの育ちもありますが,授業そのものが深まっていったということも考えられます。今後,さらに深い学びのある授業が展開されると,道徳的価値に対する子どもの成長が,より明確に見えてくることでしょう。なお,今回のように,子どもの学びの結果としての表現物から,学びを見取ることも大切ですが,それを授業が終わってからではなく,授業中に,子どもの発言や記述等から見取り,授業の展開に生かしていくことも大切です。その力をつけていくためにも,今回のようなチームで行うモデレーションの試みを各学校や研究会で進めていただければ素晴らしいと考えます。ひらやまなおき平山直樹前神戸市立本庄小学校校長9