ブックタイトルどうとくのひろば No.16
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どうとくのひろば No.16
監修:広島大学大学院教授越智貢共著:南山大学教授奥田太郎福山平成大学教授上村崇道徳的思考と他者の視点感動と畏敬の念では,科学的思考にはなくて道徳的思考にあるものとは何でしょうか。それは,他者の視点です。道徳的思考が目指すのは,いわば他者とのよりよい共存の仕方であり,その意味で,他者とりわけ異質な他者とどのように生きるべきかという問題(前号の「見てわかる!道徳」を参照のこと)がその根幹にあります。この点で,科学的思考と道徳的思考は対極的です。科学的思考では他者は問題となりません。科学的思考は,誰もが同じ結論に至るための手続きであり,その限りで「私の思考」は「他者の思考」と変わらないからです。それに対して,道徳的思考で問われるのは,自分一人ではなく,他者とともによりよく生きることなのです。このように,道徳的思考が他者との共存をめぐる思考法であるとすれば,道徳的思考は他者のみならず他者の感情にも深く関わることになります。たとえ共感が成り立たない場合でも(前号を参照のこと),私たちは,互いの感情を尊重しあうことで,お互いを尊重しあうのです。私たちの感情には,怒りや喜び,悲しみの他に,感動も含まれます。素晴らしい人物に接したとき,私たちは感動します。その感動が,自分のみならず他者をも含む一般的な観点からもたらされるとすれば,私たちはそこに崇高なものを見出し,畏敬の念すら抱くでしょう。そうした畏敬の念は,人間の高潔な行為に留まらず,荘厳な自然の光景に対しても向けられます。こうした自然に対する畏敬の念が科学的思考を適切に導く原動力ともなることはいうまでもありません。このように,よりよく生きることは,他者とともに生きることばかりか,自然とともに生きることとも結びついています。だからこそ,道徳的思考は,科学技術をよりよい生の実現へと導く役割を担いうるのです。図2科学技術と2つの思考????????????????????????????? ????????? ????????? ???????????????????????????????????????11