ブックタイトルどうとくのひろば No.16
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どうとくのひろば No.16
実践事例小学校考える視点を明確にし,「自己理解」に生かす授業実践東京都町田市立小山小学校主幹教諭野場正道1はじめに『小学校学習指導要領解説特別の教科道徳編』の第3章1の(3)では,「児童の発達的特質に応じた内容構成の重点化」が取り上げられている。道徳科で扱われている内容項目について,「児童の道徳的価値を認識できる能力の程度や社会認識の広がり,生活技術の習熟度及び発達の段階などを考慮し,最も指導の適時性のある内容項目を学年段階ごとに精選し,重点的に示したものである。したがって,各学年段階の指導においては,常に全体の構成や発展性を考慮して指導していくことが大切である。」と解説があり,道徳的価値が,発達段階に配慮して指導されるべきであることを示している。児童の発達段階や実態に合わせ,内容項目の関連的,発展的な取扱いの工夫を道徳科の中で教師が意図的にねらっていく必要があることを踏まえ,今回の授業実践を行うことにした。2課題意識をもたせる授業展開について本教材は,児童の身近な生活体験が描かれた作品である。主人公のひろしはたつやと1年生の頃から同じクラスで,一緒に勉強したり,遊んだりする仲のよい友達だった。ある朝,たつやはひろしに宿題の算数のノートを見せてくれと言う。すぐに渡さずにいると,たつやは「友達だろう。」と言い,ひろしのノートを持っていってしまう。その後も,写し終わらないので貸してくれと言ってくる。その後,ひろしがたつやに算数の宿題を自分でやるように伝えると,たつやは,「ぼくたちは友達どうしじゃなかったのか。」と言い,2人は一日中,口をきかずに過ごすことになる。ところが,帰りのしたくをするときに,たつやは,ひろしに対してにっこりとほほえみ,2人は「友達」としての思いをお互いに理解していくという内容である。本教材では,仲良しの友達に頼まれごとをされた主人公が,それを果たすべきかどうか迷いながらも,「友達」とはどうあるべきか自分なりに考えていく姿が描かれている。授業実践では,導入時から「友達」とはどんな存在なのかを児童に課題として問いかけた。児童は,「友達」とはどうあるべきか考える主人公の思いについて自分との関わりで考えることができた。また,自己を見つめる場面で,再度問い直すことで,「友達」に対する自分の考えをさらに深め自覚することができた。以上の実践から,考える視点を明確にした今回の手法は,教師の指導観を児童にはっきりと示すとともに,児童が自分との関わりで考える姿勢につながったといえる。今後も導入時の発問は,児童の実態や教材の特性に合わせ,丁寧に取り扱っていく必要があると感じた。12