ブックタイトルどうとくのひろば No.16
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どうとくのひろば No.16
実践事例中学校みんなで語り,考える道徳の授業を目指して東京都荒川区立原中学校主幹教諭木下陽子【はじめに】道徳の時間にいちばん大切にしていることは,「教師と生徒が人間としてのよりよい生き方を求め,共に考え,共に語り合うこと」である。中学校では教科担任制ということもあり,道徳の時間は学級担任と生徒が,唯一心を通わせ,語り合い,議論する時間として大事な時間であると思う。心は,「教えたから育つ」というものではなく,そして「すぐに育つ」ものではない。しかし,誰でもよりよく生きたいと思い,自分や他者の幸せを求めながら生きている。多感な中学生という時期を考慮し,発達の段階や生徒を取り巻く環境を見極めることも大切にし,資料選びをするように心がけている。【自分の事として考えるために…演技を取り入れる】本時では,混雑している電車にも関わらず,座席を占拠する男子学生,またその様子に激怒し注意する中年男性,周りの乗客それぞれの気持ちを想像するために,電車でのやりとりを役割演技することを取り入れた。中学生の段階で,電車でのマナーや優先席の意義等については理解していると考えられる。ただ,「自分には関係ない」や「誰かが○○すれば良い」と受け止め,自分自身がどう行動するかを考えるよりも,他人事としてやり過ごしてしまいがちである。この教材を通し,登場人物(男子学生・中年男性・周りの乗客)それぞれの心情を想像し,やりとりを体験することで,自分の事として考えさせたい。社会生活の中で,一人ひとりが他者を思いやり,公徳を大切にしようとする心をもつことで,住みよい社会が実現される。友人や教師と意見交換しながら,生徒一人ひとりが社会の中で自分にできることを考え,実践しようとする意欲を育むことを目標にし,教材「空虚な問答」(『新・あすを生きる3』(日本文教出版))を使い,授業を展開した。授業後生徒からは以下のような意見や感想があがった。○まず,自分ができることを考えて,行動することができるようになりたいと思った。○社会では譲り合うことが大切だが,それぞれの事情も考慮しなければいけないと思った。そして自己中心的な行動はいけないと改めて思った。○みんなが自分の意見を相手に押しつけすぎていると思う。公共の場では,自分だけが楽をしようという考えはダメだと思う。14