ブックタイトルどうとくのひろば No.16
- ページ
- 4/28
このページは どうとくのひろば No.16 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは どうとくのひろば No.16 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
どうとくのひろば No.16
特集チームとなって取り組むモデレーション「道徳科の評価」のすすめ佐用町立利神小学校校長桑田隆男1ポートフォリオ評価の活用2モデレーションのすすめ道徳科の評価の最大の難しさは,評価対象である道徳性が直接観察できないということに尽きます。そのため,たくさんの子どもたちの表現物(ワークシート等)や発言内容などを手がかりにして,子どもの成長を評価するしかないのです。したがって,評価に値する学び,すなわち,子どもが成長した学びが展開され,その学びを見取ることのできる指導や評価の計画を立てることが大切となります。もちろん,道徳教育に係る評価等の在り方に関する専門家会議の報告(平成28年8月)にも明示されているように,観点別評価ではなく,個人内評価として丁寧に見取る必要があります。また,「『特別の教科道徳』の指導方法・評価等について(報告)」によれば,【評価の視点】として,・他者の考え方や議論に触れ,自律的に思考する中で,一面的な見方から多面的・多角的な見方へと発展しているか・多面的・多角的な思考の中で,道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているかといった点に注目することが求められる。特に顕著と認められる具体的な状況を記述する,といった改善を図ることが妥当であると考えられる。と明示してあります。では,実際にどうやって評価すればよいのでしょう。有効な方法の一つが,ポートフォリオ評価であると考えます。ただ単純に子どもが表現物を綴れば,ポートフォリオになるというものではありません。ポートフォリオとするためには,以下の3つの条件が必要です。1作り方を教師が指導する。2蓄積した表現物などを一定の系統で並べかえたり取捨選択したりして整理させる。3子どもの変容を教師間で共有するために,ポートフォリオについて話し合う場(ポートフォリオ検討会)をもつ。しかし,評価はどうしても教師の主観に陥りやすいのも事実です。教師一個人の感覚でつけてしまうと基準がバラバラになりやすく,「本当に子どもの成長を評価できているのか(妥当性)」「隣の先生の評価と違うのではないか(信頼性)」といった課題が残ります。前述の「『特別の教科道徳』の指導方法・評価等について(報告)」の中にも,道徳科の評価を推進するに当たっては,他教科と同様に,学習評価の妥当性,信頼性等を担保することが重要であり,そのためには,評価が各個人の教師にのみ任され,個人として行われるのではなく,学校として組織的・計画的に行われることが重要である。(略)評価結果について教師間で検討し評価の視点などについて共通認識を持つことと明記されています。そこで,これらの課題を克服するために,モデレーションをお薦めします。モデレーションとは,複数の教師が同じ種類の評価資料(ポートフォリオに蓄積された表現物など)を持ち寄って検討し,評価の調整を図る会議のことをいいます。子どもの表現物を複数の目で見ること,その結果をお互いが見て比べることで,具体的な評価の考え方や方法を学ぶとともに,教師自身の評価能力を高めることにもつながります。教師にとってこの評価の異なる点について話し合うことが,学習指導の改善にもつながっていくのです。また,モデレーションを校内研修に取り入れることで,表現物から子どもが登場人物の心情をどう理解したのかを,教員同士が読み取ることになります。複数の教師が頭を突き合わせ,子どもを理解しようと深く考えます。このことが深い子ども理解につながります。チームとなって子どもの成長を見取ろうとすることが可能となるのです。2