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概要

どうとくのひろば No.16

特集モデレーションチームとなって取り組む「道徳科の評価」のすすめ?自分の成長を振り返る評価さらに,モデレーションを「道徳科の評価」に有効に活用するために,学期ごとに子どもが自分の成長を振り返る評価について述べます。そこで,小学4年B児とC児が1月頃に,これまで(1学期~2学期)の道徳の学習を振り返って書いたものを見てみましょう。B児の振り返り「これまでの道とくの勉強を振り返って」私は一つ成長したな~と思ったことがあります。それは,だんだんその人の気持ちに入っていることです。最初は自分から見て書いていたけど,後の方になってくるとその人が言ったのをメモしているように見えました。一年もたっていないのにずいぶん成長していて自分でもびっくりです。三学期の終わりにはもっと感じょう的になっているかもしれません。(以下略)B児の表現は,言葉足らずで言い尽くせていない点も多く見受けられますが,「読み物教材の登場人物を自分に置き換えて具体的に理解しようとしている」ことがわかります。C児の振り返り「これまでの道とくの学習を振り返って」4年生になってからすぐの私は,あまり自分から,発表していなかったけど,だんだん5年生に近づいてくるたびに,発表回数がふえたと思いました。今は,一時間に何回も発表しているくらいです。すごく成長したなと自分でも思いました。もう一つ私が成長したなと思うのは,「心」です。ファイルをずーっと見てみると,最初は,ワークシートに,1,2行しか書いていなかったけど,どんどん2行が3行,3行から4行……と,最後までいったり,はみ出すまで書いているのもありました。だから,自分で人への思いやりの心などが広くなったと思いました。これからも道とくをがんばって,もっと心を広くしたいです。(以下略)C児は,「人への思いやりの心などが広くなった」ことにふれ,自分自身の心の成長を捉えています。また,自分の思いをワークシートからはみ出すくらい表現できるようになったことにも成長を感じていることがわかります。このことから,1回限りの授業場面だけで見取るのではなく,学期ごとまたは1年間で子どもの成長を見取ることが子どもの伸びをより多面的・多角的に把握することが可能となることがわかります。また,教師サイドの評価ではなく,子ども自身が自分の成長を感じ取ることで,自立した人間へと成長を促すことにもなります。5まとめにかえて「道徳科の評価」について,チームで取り組むモデレーションという方法について述べてきました。モデレーションを実施した上で,時系列で子どもの成長(個の高まり)を見取る評価,学期ごとの振り返りで自分自身の成長を見取る評価が重要であることを,事例をもとに説明しました。モデレーションを有効に活用することで,子どもたちの成長を見取ることが可能となるのです。校内研修にモデレーションを取り入れることで,まさにチームで取り組む「道徳科の評価」となり得るのです。しかし,モデレーションはあくまでも一つのツールでしかありません。最も重要なことは,「授業を変える」ことです。「評価に値する道徳科の授業づくり」が,今,求められています。子どもたちの道徳的価値レベルを十分に把握したうえで学習展開を組み立て,どの意見をどう取り上げることで,道徳的価値の何について考えさせるのか,指導者の中で明確になっていなければなりません。つまり,教師の力量がこれまで以上に問われているのです。6