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概要

どうとくのひろば No.17

図1 善き社会と希望・勇気,個性の伸長*善き社会の理想にもとづき,希望・勇気・個性は育まれる。 希望・勇気・個性がより善き社会を実現する。より善き社会の実現も同じです。希望をもち,その希望を実現する勇気を育むことが肝要だとされるのは,道徳と表裏の関係にある「善き社会」がそれを求めるからです。実は,18世紀後半のイギリスとプロイセン(ドイツ)で産声を上げた功利主義や義務論も,それぞれ当時の社会の在り様に支えられています。つまり,どんな善悪の基準も社会と不可分なのです。それぞれの「善き社会」の指針が,善悪の基準として実現されているといってもよいでしょう善き社会と個性の伸長 むろん,社会の在り様は変化します。それゆえ,今日の道徳を考える際にも,今日の「善き社会」の種々の条件を見極めなければなりません。今日の社会では,多様な出自の人々と協働し,多様な生き方を認め合い,多様な文化を受け入れることが「善き社会」の理想として求められています。そのためには,それぞれの個性を相互に尊重し,互いにそれを伸長させる姿勢が必要不可欠です。 個性の伸長は,「善き社会」を実現するために求められる理想であり,同時に「善き社会」が実現された状態でもあります。ですから,個性についても,「ひとを傷つける個性」や,「ひとをだます個性」は認められません。そうした個性は,他の人々の個性の伸長を妨げることになり,その結果,「善き社会」の実現を阻害することになるからです。個性の伸長は,社会の人々を絶妙なバランスのもとでつなぎ合わせるちょうつがいのようなものだといえるでしょう。 このように,希望と勇気,そして個性の伸長は「善き社会」の理想にもとづき育まれるものであり,私たちの社会をこれまでよりも道徳的により善いものにしていく原動力でもあるのです。・・・・・・11監修:プール学院大学 教授 越智 貢共著:南山大学 教授 奥田太郎  福山平成大学 教授 上村 崇勇気希望個性の伸長善き社会の理想善悪の基準