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概要

どうとくのひろば No.17

12 1 はじめに 変化の激しい現代社会の中で,特に道徳教育においては,いじめ問題をはじめ「生命の尊さ」について考えることが重要になってきている。 「小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編」には,「生命を大切にし尊重することは,かけがえのない生命をいとおしみ,自らもまた多くの生命によって生かされていることに素直に応えようとする心の表れと言える。」と書かれている。さらに,第5学年及び6学年においては,「家族や仲間とのつながりの中で共に生きることのすばらしさ,生命の誕生から死に至るまでの過程,人間の誕生の喜びや死の重さ,限りある生命を懸命に生きることの尊さ,生きることの意義を追い求める高尚さ,生命を救い守り抜こうとする人間の姿の尊さなど,様々な側面から生命のかけがえのなさを自覚し生命を尊重する心情や態度を育むこと」と書かれている。 本校では,「生命の尊さ」の内容項目での学習を年間で2回計画している。1回目は,人と人とのつながりの中で,命がまた新しい命を生む「生命の連続性」を主題とし,2回目は大切な人の死などを通して自己の命について気付く「精一杯生きる」ことを主題とした。年間での内容項目の位置づけを明確にし計画的に取り組むことで,児童の生きる基盤となる道徳性を養うことができるであろう。2 授業展開について 本教材は,じいちゃんの余命が3か月と知り毎日病院へ通う大地と,孫(大地)の誕生日を間近にひかえ,病気に苦しみながらも孫に手紙を残したじいちゃんの話である。じいちゃんへの思い,家族の死に触れて成長していく大地の心情を共感的に捉え考えていく発問構成にしていく中で,最期のときも孫を思う愛情を知り,児童は,人の死,命の尊さに気付くことができるであろう。「あなたは精一杯生きていますか」と導入と展開の後段で二度問うことで,自己の命を見つめ,命を大切にして生きていこうとする心情をさらに高めたいと考えた。児童の「今生きていることに価値がある。」「家族へ感謝。」「友達の命も大切である。」といった発言や,命の尊さについて深く学び合う姿が印象的である。実践事例小学校これからの自分を考える実践東京都 町田市立鶴川第三小学校 主幹教諭 石塚 夕希子