ブックタイトルどうとくのひろば No.17
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どうとくのひろば No.17
愛知教育大学教授 野平慎二那覇市立古蔵中学校校長 上江洲 毅岡山市立大野小学校校長 深井 守子どもたちと接する中で出てくる,「こんなとき,どうする?」。道徳教育をより輝かせるためのヒントを,先生方に教えていただきました。「道徳の正解は, 誰が決めるの?」自分です道徳の正解はどこに?よりましな答えを自分たちで見つけていかなきゃ これからの時代は「考え,議論する道徳」への転換が目指されていますので,子どもから上のように質問されたら,「道徳には正解はないんだよ」という正解(?)を返すのではなく,「道徳の正解って何だろうね?」と切り返し,子どもと一緒に考え,議論してはどうでしょうか。「人を殺してはいけない」など,正解に見える道徳的価値にも,詳しく見ると例外やグレーゾーンがあります(戦争や安楽死などはその典型でしょう)。発達段階にもよりますが,子どもとの議論のなかで,大人(先生)でさえも唯一の正解を知らず,教えてくれず,これまでもこれからも相手の立場を考えながら,自分たちでそのつどよりましな判断を下していくしかない,という姿勢の大切さに子どもたち自身が気づいてくれれば大成功でしょう。 道徳の正解は,だれかが決めることではありません。では,道徳の正解は,どこにあるのでしょうか。 道徳の正解は,生徒自身が求めるものです。“決める”のではなく“求める”,“求め続ける”ものです。 その時に大切なのは,なぜそう考えたのか,なぜそう判断したのか,自分の考えをしっかり持つことです。また,その考えを学級のみんなに伝えたり,友達の意見を聞いて自分の考えと比べたりすることも大切です。そして,自分が考えた正解は,今の自分の正解であり,ずっと同じままとは限りません。成長の過程や環境の変化で,正解が変わってくる場合があります。人間として生きていく中で,道徳の正解を求め続けることが一番大事だと思います。 「道徳の正解は,最終的には自分が決めるのです。ただし,ひとりよがりになってはいけません。」と答えます。いろいろな人の意見をよく聞いて,十分に話し合って,しっかり考えて判断することや,いろいろなことを学習したり体験したりすることも大切です。それから,道徳の正解は,一つとは限りません。例えば,困っている人に手を貸すのが親切ですが,場合によっては,手を貸さないで見守るという親切もあります。どちらも相手のしてほしいことは何かをよく考えているという点では,同じ親切です。 ですから,子どもには「同じことでも人によって感じ方や考え方は違うから,同じ一つのことでも見方を変えることによって違ってくることが,たくさんあるんだよ。」と伝えます。今回のテーマこんなとき,どうする?16