ブックタイトルどうとくのひろば No.17
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どうとくのひろば No.17
るところに行きさえすれば食べることができます。ただ,いつ頃どこに行ってどういうふうに探せばエサが食べられるかということは学習する必要があります。これは親に教えてもらうのですが,その親を親であるとしっかり認識しなければなりません。そのために起こるのが「刷り込み」現象です。この言葉は誤って使われることがよくあるのですが,本来の意味は,孵化後間もなく目にした,ある一定の大きさの動く物体を親と認識する,そして一度刷り込まれると一生刷り直しされることがない,という現象です。 離巣性の鳥も留巣性の鳥も,このような過程があって初めて社会に巣立つことができるのです。独り立ちするには入念な準備が必要であることに変わりありません。▲ペンギンは留巣性です。(北アイルランドのベルファスト動物園にて) 動物もヒトも社会に巣立つ前に準備をしておくことは必要不可欠です。鳥の場合,その準備の仕方は大きく分けて二つの方法があります。それは卵から孵化してすぐに巣を離れる「離巣性」と孵化しても長く巣に留まる「留巣性」です。 まず離巣性ですが,このタイプのヒナは孵化した時点で目はもう明いていて,綿羽も生えています。数時間して濡れていた綿羽が乾く頃になると親の後について走り回ることができます。地上に巣をつくるカモやキジ,チドリの仲間で多く見られます。孵化したヒナは敵に見つかりやすいので,いつまでも巣に留まっているわけにはいかないのです。 それに対し留巣性のものは,スズメの仲間やインコ,フクロウの仲間などで,ヤブの中や木の洞,穴の中など,外敵に見つかりにくいところに巣をつくるもので多く見られます。このタイプのヒナは,孵化した時点では目はまだ明いていませんし,綿羽も生えておらず,文字通り赤裸の状態です。歩くことなど論外で,ひたすら親に温めてもらって体温を維持しなければ死んでしまうほどかよわい存在です。お腹がすくと親が動く振動に反応して鳴き,口にエサを入れてもらう,この繰り返しで成長していきます。ようやく巣立った後でも,枝にとまって親の運ぶエサを待ちます。これはエサを獲得するのに経験と技術を要するもの,すなわち昆虫など上手に逃げたり隠れたりする他の生き物を獲物とするものによく見られます。自分で獲物を捕ることができるようになるまで親と一緒に過ごし,狩りの仕方を親から学んでから独立するのです。 一方,離巣性の鳥では,動かない木の実や草の種など植物をエサにするものが多く,その植物が生えてい準 備元大阪市天王寺動物園 園長 長瀬 健二郎地球の仲間からのメッセージふ かめん う