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概要

どうとくのひろば No.20

仲間と学び合い,よりよく生きる生徒の育成を目指して愛知県弥富市立弥富中学校 教諭 岸原 美佳個性は決して一人で伸びるものではなく,他に認められながら伸びるものである。互いの異なる個性を見つけ,違うものを違うと認め,ときには許す私心のない寛容の心,偏狭なものの考え方のない広い心を育てることが求められる。「今の自分さえよければ」といった「閉じた個」ではなく,自己と対話を重ね自分自身を深めつつ,他者とともに生きるという自制を伴った「開かれた個」を育てていきたい。(1)個人→グループ→個人で考えを深めるインターネットの書き込みを通して,あることを発見した主人公。何を発見したのかを小集団のグループで考えさせる。自分は良いと思ったことでも,そうでないと感じる人がいること,さらにはそれを見ていた人がどう感じているかなど,いろんな人の立場に立って話し合わせる。個人追究のあとにグループ活動を通して,いろいろな見方や考え方,感じ方があることに気付かせ,個々の考えをさらに深めさせたい。また,安易に「インターネットへの書き込みは怖い」という結論に至らないようにするために,ねらいを意識づける導入とともに価値項目を板書しておく。(2)教材提示の工夫①状況をリアルな形で再現実際の掲示板をイメージできるよう,同じような意見で埋め尽くされ盛り上がっている様子,反論に反論を重ねいがみ合っている様子,それを冷めた目で見ている第三者の様子をそれぞれ提示する。文字だけを眺める場面をつくり,PC の画面に向かって相手とやりとりしている主人公の気持ちに迫れるようにする。②対極的な見方のできる板書1 つの事象に対して,感じ方や考え方が異なる人がいることを印象づけるために黒板を分け,対極的な見方ができるようにする。(3)ねらいを意識づける補助教材①だまし絵「ルビンの壺」本時の導入では,多様な見方があることに気付かせるため,「ルビンの壺」やなかなか見つけることのできないだまし絵を用意した。生徒の関心を引きつけるのと同時に,人によって見え方が違うことを体感させて,展開への動機づけとしたい。終末に使っても効果はあると思われる。②終末の説話大岡 信の『言葉の力』や『古今和歌集仮名序』を用いてもよい。国語の教科書に掲載されている作品は,生徒にも馴染みがあり,改めて言葉の向こう側にいる人のことや言霊について考えることにつながると思われる。1 ねらいとする価値について2 指導の工夫10