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概要

どうとくのひろば No.20

例えば,道徳科の授業で「あるできごとにおける問題」をどうしたら解決できるかというような問題の解決方法を探すことは,問題解決的な学習とは呼びません。それは,道徳科の目標が,「一人ひとりのよりよい生き方を模索する」ことにあるからです。教材の中から,児童,生徒たちにとって「なぜそうなの」「もっと考えたい」というところを課題として,「よりよく生きるにはどうしたらよいか」というような問いが生じる指導の工夫が求められます。例えば,道徳科の授業で,職場体験やボランティア体験などの体験活動を生かし,体験を通じて感じたことや考えたことを基に対話を深めます。また,共生できる社会をつくるという内容を学び合うとき,アイマスクや車いすの体験を実際に行い,感じたことや捉えられた問題を基に深く話し合うことなどが考えられます。従って,意見の交流や深い学び合いの無い,体験と感想だけの授業は道徳科の授業としては不完全といえます。例えば,「中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編 第4 章 第3 節 6」の後段「生命倫理や社会の持続可能な発展を巡っては,…様々な道徳的価値に関わる葛藤や対立がある。…『相互理解,寛容』,『公正,公平,正義』…などについては,現代的な課題と関連の深い内容であると考えられ,…」といった部分に注目すれば,これらについては,難しい課題ではありますが,発達の段階に応じて,多面的・多角的な見方や考え方を引き出し,対立を乗り越え,協働して解決していこうとする姿勢が求められています。(深めるワード:学習指導要領解説 特別の教科 道徳編)とくに次の2つの観点が大切です。1.人格の発達や,自律心,判断力,責任感などの人間性を育む。2.他人との関係性,社会との関係性,自然環境との関係性を認識し,「関わり」「つながり」を尊重できる個人を育む。すでに小学校・中学校の教科等で行われており,今回の学習指導要領の改訂では,特別の教科 道徳編でも取り組むことになりました。例えば,中学校の内容項目B-(9)「相互理解,寛容」は,人間の関係性について直接考える内容です。(深めるワード:文部科学省日本ユネスコ国内委員会)学校教育道 徳 ESD日常の活動や教材の中から,自ら問題や課題を見つけ,それらを道徳的価値に照らし多面的・多角的に考察し,主体的に判断し,互いに異なる意見や考え方に耳を傾け話し合い,自らの生き方に対する考えを深める学習のこと。現代社会において,解決の難しい問題や答えの定まっていない課題のこと。これらについて,理解を深め,自分自身との関わりで捉え,その解決に向けて考え続けようとする意欲や態度を育てることが大切である。日常生活や学校生活における体験を生かして授業を構成したり,疑似体験的な活動(模擬体験や役割演技)をしたりすることを通して,実際の問題を実感を伴って理解し,考えを深める学習のこと。 も 問題解決的な学習 た 体験的な学習 げ 現代的・社会的な課題持続可能な開発のための教育(Educationfor Sustainable Development) のこと。ユネスコの提唱する教育で,私たちとその子孫がこの地球で生きていくことを困難にするような問題について考え立ち向かい,解決するための学びのこと。 E ESD3