ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

どうとくのひろば No.20

わかる !道徳 見て 第7回「勤労,公共の精神」「社会参画,公共の精神」「勤労」働くことにはどのような意味があるのでしょうか。すぐに思い浮かぶのは,お金を得る手段だという考え方でしょう。確かに,私たちは働いて得たお金を暮らしの糧にしています。働かなければ,生活することはできません。この考え方からは,お金と勉強とを直結させる次のような意見も出てきます。すなわち,「働くのであれば,大企業のように,高収入を得ることができる会社に就職すべきであり,そのためには,小学校から高等学校まで懸命に勉強し,偏差値の高い大学に入らなければならない」という,ときおり耳にする意見です。この種の意見の是非は別にしても,お金を得ることが働く理由の一つであることは否めません。しかし,働くことの意味はそこにしかないのでしょうか。お金につながらない例を考えてみましょう。たとえば,だれもが経験したことのある家事の手伝いです。なぜ,私たちは,お金をもらえないのに手伝いをするのでしょうか。多くの人は,家族が喜んでくれるからと答えるにちがいありません。私たち人間には,家族や身近な人の喜びを自分の喜びとするメカニズムが備わっています。彼らの喜ぶ顔が私たちが働こうとする理由になることは間違いありません。しかし,他者のために働くことがつねに自分の喜びをもたらすとは限りません。たとえば,学級当番。学級には,給食当番や掃除当番など児童生徒がしなければならない多くの仕事があります。これらの仕事を喜んで行ったという経験をもつ人は少ないかもしれません。学級当番と手伝いとの違いはどこにあるのでしょうか。学級当番は,家事の手伝いとは異なり,特定の人のために働くものではありません。学級当番になった人は学級全体のために働きます。だから,当番の仕事によって特定の人が喜んでくれるわけではありません。しかし,この学級当番が学級の日常的な営みを支えています。花の水やりや掃除の当番をさぼる人がいれば,たちまち困った問題が生じます。だれかがそれらの仕事をしっかり行わなければ,学校生活は円滑に進まないのです。それゆえ,学級当番の仕事は,家の手伝い以上に,責任や役割といった事柄に深く関係しています。このことが理解できなければ,学級当番は興味のもてない苦しい仕事でしかありません。しかし,学級をよく観察すると,当番の中に,嫌な顔一つせず黙々と仕事に打ち込む人がいることに気づ社会参画働くこと賃金働く理由自分のため社会のため他人のため喜ぶ顔が見たい働くことの意味集団や社会への責任と貢献働くことの意味働くことと他者学級当番と他者6