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概要

どうとくのひろば No.21

春風亭昇太短所長所短所は長所「これが自分らしさ」人見知りをかくさない話してもだいじょうぶ短所を直し 生かそう!「短所があっても悪くない」これでいいんだ自分らしさそれじゃ、ダメじゃん素直な思いや考えの交流をもとに道徳的価値を深める授業をめざして高知大学教育学部附属小学校 教諭 飯田 啓雅(1)考えることがより明確になるように,課題提示の工夫をする。道徳科の授業では,本時で教師がねらいとしている道徳的価値と,子どもが捉えている道徳的価値とがずれてしまったり,子どもがこの時間に何を考えればよいのかの見通しがもてないままであったりすることがある。そこで,教材を読んだあと,「この主人公は,どうしてこんなことができたのだろう?」や「この時の主人公はどんな気持ちだったのだろう?」などと子ども自身が考えてみたいと思うことを探させ,「では,そのために大切なことは?」と課題につなげていくようにする。そうすることで,子どもの思考を共通の土台に乗せ,子ども自らが動き出せるようにしていく。(2)活動を工夫したり,教材提示の工夫をしたりする。道徳科の授業において,子ども自らが学習対象に働きかけている状態は,「考えてみたい!」「自分の考えを言ってみたい!」という気持ちが高まった状態だと考える。そのためには,自分の思いをはっきりと表現させる必要がある。そこで,教材に関係する人物や物を紹介することで登場人物を身近に感じさせたり,事前にとったアンケートから自分の身近な生活を振り返らせたりするなど,自分事として考えさせる場面をつくり,自分の立場をもたせることで,その時の自分の気持ちを表すことができるようにする。また,教材を最後まで読ませるのではなく,登場人物の心が動く場面の手前で分けて提示することで,「この後,どうなるのか考えてみたい」「自分だったら」と子ども自らが学習対象に働きかけることができるようにしていく。(3)子どもの素直な思いを見取ることで,ペアやグループでの話し合いのタイミングを探る。道徳科の授業では,自分の思いを伝えたり,友達の考えを聞いたりする場面が必要である。そのために,教師は,ペアやグループでの話し合いのタイミングを探るための見取りが重要となる。ねらいとする道徳的価値に迫ろうとしている表現を見取れば,称賛し近くの人に伝えるように声掛けをする。また,自分の思いが十分に表現できていないという子どもを見取った時にも,ペアやグループで話し合う場面をつくることもある。このように,友達と対話することで,自分の考えに自信がもてたり,新たな考えがもてたりするのである。(4)子どもの思考を深めるために,揺さぶりを繰り返す。中心発問では,登場人物の最も揺れている気持ちを考えさせる。ここで,正解だとされる考えを答えていれば安心だと思いながら表現している子どもの姿(思考が深まっていない状態)を見取る。そこで,教師が「本当にそれでいいの?」「苦しいと分かっていて,わざわざしんどい思いをしなくてもいいのでは?」などと揺さぶりをかけることで,一度立ち止まらせ,登場人物と同じように葛藤する場面をもたせるようにする。このようにすることで,子どもは,「わかっているけど……」「そうは言うけど……」などと次第に本音を言いたくなるのである。そこで,その本音に対して「さらなる揺さぶり」をかけていく。そうすることで,子どもの思考に「○○さんの意見は分かる。けど,ぼくは…」「○○くんの考えには反対で,私は…」などと,友達の考えに対する新たな自分の考えが生まれ,「言いたい!」「友達に伝えたい!」という気持ちが強まり,友達の意見とつながり,語り合いが始まる。このように,揺さぶりを繰り返すことで,子どもが本音で語り合いながら思考を深め,ねらいとする道徳的価値に迫っていくことができるのである。*弊社web サイトの「道徳と日文」には,昇太さんと子どもたちが伝統文化や友情について語り合う「昇太師匠と考えよう」や,昇太さんが落語をしている動画が収録された「教科書デジタルコンテンツ」をご用意しています。ご利用ください。(編集部)「主体的・対話的で深い学び」を実現するための教師の働きかけ8