ブックタイトルどうとくのひろば No.21
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どうとくのひろば No.21
元大阪市天王寺動物園 園長 長瀬 健二郎地球の仲間からのメッセージ新しい知識を得ると,世界は広いなと実感することがよくありますが,キリンに5 本の角があることを知ったときもそうでした。小さなころからよく知っている動物についてのことだったので,よけいにそう思いました。まだ獣医学科の学生だった頃のことです。少し説明が必要でしょう。キリンには耳と耳の間にオスメスともに一対の角があるのはご存知だと思います。角が毛で覆われていることに気づかれたと思いますが,ここがウシやシカと大きく違う点です。頭骨の一部が角状に伸び,これが芯となり,周りを皮膚が覆っています。これは主しゅ角かくと呼ばれます。その主角の前,目と鼻の間にもう1 本あるのが分かると思いますが,主角よりやや小さいので額がく小しょう角かくと呼ばれます。これで3 本です。残りの2 本はこの写真では隠れて見えませんが,頭の後ろに後こう頭とう角かくと呼ばれる角が一対あります。これで5 本です。少し見つけにくいかもしれませんが,今度,動物園へ行かれたときに観察してみてください。ウシやシカにも同じように角がありますが,そのでき方はだいぶキリンとは違います。ウシのそれにはキリン同様,骨の芯がありますが,皮膚で覆われてはいず,角質の鞘をかぶっています。これは洞どう角かくと呼ばれます。シカの角には骨の芯はありませんが,角の成長期には皮膚で覆われています。皮膚の中の血管は角を形成する基となるカルシウムを角に運びます。こうして角は成長していきます。伸びきると役目を終えた皮膚は?がれ落ちて中の角が出てきて完成します。これは枝えだ角づのと呼ばれます。ウシもシカも一対の角が生えますが,サイの場合,鼻の上に1 本,種類によっては前後に並んで2 本の角が生えます。これは毛が固く束になったもので,中ちゅう実じつ角かくと呼ばれます。では角は何のためにあるのでしょう。身を守るためにあると思われがちですが,動物たちの生活を見ているとそれが主目的ではないようです。赤ちゃんを育てるシカのお母さんには角はありません。本当に外敵対策用の武器であるならば,シカのお母さんにこそ必要でしょう。角の役割はむしろ同じ種のオス同士が戦うときに使う闘争用と解釈されています。「草食系男子」などと動物のことをわかっていない人が名付けましたが,草食系も肉食系もなく,オスは自らの子どもを産んでもらうメスを獲得するために,命を懸けて戦います。そのための武器が角なのです。角,と一口に言っても,動物によって様々なのです。▲キリンの角は5 本もあります。角つの