ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

どうとくのひろば No.21

| 巻| 頭| 特| 集|く,多様であるということを理解(他者理解)する学習をする。次に,そのような学習を通して,人間としてよりよく生きる上で大切な道徳的価値を,自分のこととして考えたり感じたりする,つまりこれまでの自分の経験やそのときの考え方,感じ方と照らし合わせながら,さらに自己の生き方についての考えを深める学習(自己理解)を展開するのである。そして,道徳科では,児童自ら道徳性を養うという目標に向かって,児童一人ひとりが,道徳的価値の理解と同時に自己理解を深める学習を通して,自らを振り返って成長を実感したり,これからの課題や目標を見つけたりすることができるようにするということになる。つまり,道徳科では,「価値理解」「人間理解」「他者理解」「自己理解」の学習内容が意図的に組み込まれていることが大切である。このことから授業に関する評価の視点を設定するとすれば,次の4点が挙げられる。「価値理解」… 道徳的価値は,人間としてよりよく生きる上で大切なことであることを理解できたか。「人間理解」… 道徳的価値は大切であってもなかなか実現することができない人間の弱さなどを理解できたか。「他者理解」… 道徳的価値を実現したり,実現できなかったりする場合の感じ方,考え方は1 つではなく,多様であるということを理解できたか。「自己理解」… 道徳的価値をこれまでの自分の経験やそのときの考え方,感じ方と照らし合わせながら,さらに自己の生き方についての考えを深めることができたか。これらの4つの視点を取り入れた授業をしていかなければならないと考えている。逆に,そのような授業を展開しなければ児童の評価をすることは容易ではないと考えている。では,実際にどのような評価が考えられるであろうか。道徳教育に係る評価等の在り方に関する専門家会議の報告から,ポイントとなることは,・記述式とすること。・ 大くくりなまとまりを踏まえた評価とすること。・ 児童生徒がいかに成長したかを積極的に受け止めて認め,励ます個人内評価として行うこと。・ 道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているかといった点を重視すること。・ 道徳科の学習活動における児童生徒の具体的な取組状況を一定のまとまりの中で見取ること。の5点であると捉えた。この5点を考慮し,道徳科の時間の発言や話し合い内容,毎時間終末で書いている振り返りを資料にして,評価を記述することとした。そこで,本校では,道徳科における児童の評価の基本的な考えとして,教員の共通理解を図るために改めて次のような考えを示した。「特別の教科 道徳」の児童の評価は,道徳科の学習を通して,児童が他者の考え方や議論に触れ,自律的に思考する中で,一面的な見方からより多面的・多角的な見方へと発展していったことや,道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているといった学習状況を一定のまとまりの中で見取り(発言や振り返りシートなどをもとに),その児童の成長の様子を記述式で行う。ここで言う「一定のまとまり」についての捉え方は,1学期,2学期というまとまりや年間を通した一定期間のまとまりと捉えることにした。2 具体的な道徳科の児童の評価について1