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概要

どうとくのひろば No.21

その一定のまとまりの中で,「ある道徳的価値の学習」における児童の成長を顕著に捉えることができる学習の振り返りを中心に,道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めている内容を記述式で表現することが,個人を認め,励ます個人内評価となり,今回の道徳科導入の意図に合うと考えている。そして,道徳科では,児童自ら道徳性を養うという目標に向かって,児童一人ひとりが,道徳的価値の理解と同時に自己理解を深める学習を通して,自らを振り返って成長を実感したり,これからの課題や目標を見つけたりすることができる学習を行うのである。したがって,道徳科の評価は,それらができたかどうかの授業の評価と児童の成長の評価の2つになる。児童の成長についての評価をさらに考えてみたい。指導者が,ワクワクしながら一人ひとりの児童の成長を,「この子,すごいことを考えているなあ。」「自分とこんな風に向き合っているのか。」と見取り,その内容を記述するのである。児童の素晴らしい成長や学習の様子を認めて励ますというプラス思考の評価でなければならない。このことを踏まえた上で,先に挙げた5つのポイントを整理し,以下の4つのポイントを考え,評価に取り組むことにした。① 児童の学習状況や道徳性に係る成長の様子が見えるところ。② 価値の理解を自分自身との関わりの中で深めていることがわかるところ。③ 成長を積極的に受け止め,認め,励ます,個人に対する内容にする。④ 特に顕著に見られる具体的な状況を記述する。つまり,①や②を受け,③にそれらを組み入れ,④の形で記述するというイメージである。具体的には,次のような記述方法を考えた。(一段落目)学期や年間を通した大くくりなまとまりの中での見取りを行った内容。(二段落目)一面的な見方から,より多面的・多角的な見方へと発展していったことや,道徳的価値を自分自身との関わりの中で深めている部分(授業で特化した言動など)などの内容。次に具体的な評価文例を挙げる。いつも教材にどっぷりと入り込んで,自分の経験と合わせながら考える姿が見られました。『ハムスターの赤ちゃん』では,ハムスターのお母さんになって赤ちゃんに話しかけるという役割演技を通して,生命があるものを大切にしていこうという気持ちになることができました。また,生き物に対して「かわいがって,やさしくそだてたい。」という気持ちになることができました。道徳の時間には自分の考えや思いを進んで伝えたり,友達の意見を聞いたりして,ねらいとする道徳的価値について,理解を深めることができました。『大文字』の学習では,教材文から地域の行事について考え,地蔵盆などの伝統行事のために身近な人たちが苦労をしたり時間をかけたりしていることを知り,伝統を守り続ける人たちの大変さを感じることができました。「ぼくたちがおとなになったら,じぞうぼんのじゅんびをがんばりま3. 具体的な評価文例1 年2 年授業中の発言や学習態度を見取ることも大切です。2