ブックタイトルどうとくのひろば No.21
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どうとくのひろば No.21
わかる !道徳 見て 第8回「自然愛護」「感動,畏敬の念」私たちにとって自然とはどのようなものなのでしょうか。すぐに脳裏に浮かんでくるのは,セミやコオロギの声,鳥のさえずり,芝生の匂い,朝焼けや夕焼けの空,流れる雲,心地よい風,川のせせらぎ,といった,どこか故郷につながる風景かもしれません。そうした自然は私たちの日々のストレスを和らげ,心を穏やかにしてくれる癒しそのものです。しかし,反対に荒々しい自然を思い起こす場合もあるでしょう。地震や津波や豪雨など,自然はときに私たちの想像を超える災害をもたらし,その被害の甚大さが私たちを恐怖と悲しみのどん底に突き落とします。そうした自然は私たちの平穏な生活を破る脅威でしかありません。このように,少し想像するだけでも,自然の顔が1つでないことがわかります。自然はさまざまな顔を持っています。自然と私たちとの関係を今一度考えてみることにしましょう。まず,自然が私たちの生活を支える資源であることを見逃してはなりません。農作物,魚介類,肉類などの食料は,大地や川や海からの,つまり自然からの贈り物です。食料だけではありません。木材や岩石や鉱物,そして石炭,石油,天然ガスなどの化石燃料がなければ,現在の私たちの暮らしは成り立ちません。いうまでもなく,これらもすべて自然が生み出した恵みです。いやそれどころか,ふだん意識することのない空気や水も自然の賜物です。しかも,それらの状態いかんは私たちの生存の必要条件となっています。水の成分や大気の温度が一定の値を超えるだけでも,私たちの生命はたちまち危機に瀕します。このように,自然は,資源としても環境としても私たちの生命に欠かせません。安定した自然の生態系や気候サイクルは私たちの生命を育む揺りかごなのです。とすれば,私たちが生きていることは,私たちが自然によって生かされていることと同義です。動植物が自然の一部であるなら,私たち人間も自然の一部だと言わなければなりません。実際,私たちの生活行動は他の哺乳動物たちのそれと変わりません。食事をし排泄しそして眠るという彼らの営みを私たちも共有しています。生殖についても同じです。私たちも,彼らと同じく,生命的存在者として自然の中に生まれ,一定期間の生命的活動ののち,自然の中へ還っていきます。このように辿ってみると,自然のシステムを守ることが私たち自身を守ることでもある,ということに気づかされます。森林破壊やオゾン層破壊,大気汚染や水質汚染といった環境破壊は,私たち自身を自分の手で破壊する行為でもあります。自然を大事にすること(自然愛護)は,とりもなおさず,私たち自身を大事にすることにほかならないのです。このように私たちが自然の一部であることを自覚することは重要です。確かに他の動物とは異なり,私たち人間は,知性を介して,病原菌をつきとめ,宇宙探査を行うほどの高度な文明を築きました。しかし,自然はそれを難なく打ち砕く力をもっています。私たちの知性は台風の進路を予測することはできても,台風の発生を抑えることはできません。プレートの移動を止めることも断層のずれを修復することも不可能です。いったん自然の猛威にさらされると,私たちは恐れおののく無力な生き物でしかありません。私たちと自然資源と環境自然愛護の論理感動と畏敬6