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概要

どうとくのひろば No.24

◇登場人物 塩むすび・私(主人公) ・母 ・祖母 ・避難所の人々 ・食事係のおばさん◇避難所の様子 ・小学校の体育館。 ・今は七十名。・窮屈。 ・食事係はたいへん。◇食事係になって ・学校が始まる。忙しい。◇塩むすびのアイディア ・もっと早く起きるの。○「ありがとう。おいしかったよ。」・照れくさい。 ・うれしい。○自分も何かしなくては・おばさんたちの姿に共感。・自分を反省。・思いやりの心が連鎖。○十七文字・やってみる 新たな道をひらくのだ・人のため すれば自分のためになる◎食事係を勧めた母に感謝・わからない世界を知った。・挑戦する気持ちが湧いた。◇おばさんたち・先崎さん・高橋さん  ・大和田さん学習活動(◎中心発問,○主な発問,・予想される生徒の反応) ◇指導上の留意点と確認事項導入1東日本大震災の被害や避難所でのボランティアの写真・動画を見せる。◇導入は簡単に済ませる。◇災害等被災経験のある生徒に配慮をする。展開2 教材「塩むすび」を読む。◇教師が範読をする。◇教材からそのまま読み取らせる。①・私(主人公) ・母 ・祖母・避難所の人々 ・食事係のおばさんたち〈ストーリーの押さえ〉(確認作業)確認① 登場人物。確認② 「私」はどんな所で生活をしていたか。確認③ 避難所の状況。確認④ 避難所の仕事。②・小学校の体育館 ・窮屈な生活スペース③・入れ替わりが激しい。・今は70 名程度。④・朝のゴミ捨て ・掃除 ・支援物資の運搬,積み込み ・入浴施設の清掃 ・食事の準備(一番たいへん)確認⑤ 「私」が食事係になったとき,母に何と言ったか。確認⑥ 塩むすびのアイディアに「私」はどう思ったか。⑤「学校が始まるんだよ。忙しいんだからね。」⑥「もっと早起きして集まるの。……具ものりもないおにぎりなんておいしいのかな。」◯「ありがとう。おいしかったよ。」と言われた「私」は,なぜ照れくさくてしかたなかったのでしょうか。・ありがとうって言われたら,やっぱりうれしい。・私は食事係として必要とされている。〔驚き・喜び・充実感〕・係だからやっただけなのに。 ・少しきまりが悪い。・もっとできるのに褒められて恥ずかしい。〔照れ・反省〕◇「私」になりきって,心の動きや気持ちを考えさせる。◯おばさんの頑張りを見た「私」は,何を考えて「自分も何かしなくては」という気持ちになったのですか。・おばさんたちの思いやりや優しさに共感した。・避難所のことを心配し,行動する姿に圧倒された。・自身も被災しているのに人のために全力で取り組む姿に,感心し感動した。・自分のことしか考えていないことを反省した。◎なぜ「私」は食事係を勧めた母に感謝したのですか。・やってみなければわからないことがあった。次も挑戦する気持ちが湧いた。・人のために活動し喜ばれてうれしくなった。・たいへんなときにこそ人のために行動をすると自分が元気になる。◇おばさんたち(先崎さん,高橋さん,大和田さん)の行動を教材より確認する。【深める発問】◇おばさんたちは「私」を触発しようとは思っていない。けれども「私」は,おばさんたちの行動から気づいた。なぜ気づくことができたのか。「共感力」「想像力」があった。◇食事係の仕事を通じて,人間としてよりよく生きていこうとする「私」の心の変化,周りの人々に支えられて今の自分があるという感謝の心と,周りからの感謝に応えようとする主人公の姿に気づかせる。終末3 本時の感想を道徳ノートに記入する。◇心の置きどころが変わると,物の見方や住む「17 文字」で気持ちを表現する。 世界ががらりと変わることを押さえる。人間としての生き方についての考えを深める道徳授業神戸市立高取台中学校 教諭 白川友彦内容項目 : B「思いやり,感謝」◇は教材から読み取る発問 ○は発問 ◎中心発問感謝の心に応える多くの人々の善意により,日々の生活や現在の自分があることに感謝し,進んで周囲の思いに応えようとする実践意欲を育てる。塩むすび(『中学道徳 あすを生きる3』日本文教出版)展開例主題名教材名ねらい1995 年1 月17 日に発生した阪神・淡路大震災。当時の神戸市の中学生に行ったアンケートがある。「この震災で最も強く感じたことは何か」という問いでは,第1位は「助け合い・支え合いの大切さ」であり,「地震のおそろしさ・怖さ」を上回った。また,「自分自身の反省点は何か」という問いに対しては,「ボランティアへの積極的な参加」が第1位となり,この年は「ボランティア元年」ともいわれている。2011年に発生した東日本大震災では,避難所での支援物資の運搬や清掃,小学生や小さな子どもの世話などで活躍する中学生が底力を発揮した。自然災害の多い日本で,震災時だけではなく普段の生活においても,思いやりの心をもってお互いに助け合い支え合う心を育みたい。また,多くの人の善意により今の自分があることに気づき,感謝する心を養いたいものである。中心発問を通して,これから道徳性を高めていこうというときにチャイムが鳴ったという苦い経験が私にはある。そのためにも時間配分を考え,中心発問に重点を置いた授業展開を大切にしたいと考えた。具体的には次のような点に留意して指導展開を行った。・主人公になりきって考える。・自覚前(気づき前)は教材から確認する。(ここで多くの時間を取らない。確認するだけ。)・触発者の視点で考える。(主人公から離れ,触発者の視点で考えてみる。)・中心発問でねらいに迫る。(深める,揺さぶる,切り返す,問い直すなど,発問を工夫しねらいに迫る。時間をたっぷり取る。)・まとめは生徒自身がする。→評価との関係(今回は17 文字で気持ちをまとめさせた。)教師の発問によって,生徒自身が自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,人間としての生き方についての考えを深められるように支援した。震災学習に関連させて,語り部による震災講話,炊き出し体験,地震を想定した避難訓練,地域クリーン作戦,神戸市独自教材(冊子『幸せ運ぼう』)を使った学習などを通じ,計画的,発展的な指導を行っている神戸市の中学校は多い。道徳授業を要とし,これらの教育活動を絡めていく中で,生徒たちは地域の一員としての役割を自覚し,自己存在感や自己有用感を高め,よりよく生きていこうとする内面の力を育んでいる。2 時間配分を考えた効果的な指導展開3 道徳授業を要とした計画的,発展的な指導1 はじめに12 13