ブックタイトルどうとくのひろば No.26 教科書特集号

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どうとくのひろば No.26 教科書特集号

上田岡 岩崎 山田 竹本今日の学習を通して、学んだことじゃま者扱いされた時の山中さん何度も壁にぶつかって、それでも研究を続けたのはなぜ成功=完成ではない宮本 細川 長谷川 鈴木佐藤 杉岡 森田熊本県熊本市立弓削小学校 教諭 山平 恵太展開例学習活動(◎中心発問,○主な発問,・予想される児童の反応) ◇指導上の留意点 ☆評価の観点導入1事前アンケート結果から,本時の価値に触れる。◇「自分が困難な状況になった場合にどうするか」というアンケート結果から感じたことを近くの児童と話させることで,自分ごととして捉えることができるようにする。◇山中さんと全く同じではなくとも,似た状況が自分たちにもあることに気づかせ,教材と児童との距離を縮める。○アンケート結果を見ましょう。・諦めずに頑張る人って多いな。・頑張り続けるのは難しい人もいる。・どうしたら諦めずに続けられるだろう。展開2 「 iPS 細胞の向こうに」をもとに,話し合う。 ◇教材は事前読みをさせておく。◇邪魔者扱いされたときの山中さんの気持ちを考えさせることで,自分たちと同じような悩みや弱さをもっていたことに気づかせ,人間理解を深める。○指導する医師から邪魔者扱いされたときの山中さんはどんな気持ちだったでしょう。・医師に向いていないから諦めよう。・惨めな気持ち。・どうしたらいいのだろう。◎何度も壁にぶつかって,それでも研究を続けたのはなぜでしょう。・重い病気やけがで苦しんでいる人がいるのに,諦めることはできない。・ここで諦めたら,誰も助けられないし,自分が後悔する。・何度も悔しい経験はあったけれど,諦めなければきっと道は拓ける。◇近くの児童と話し合わせ,友達の話を聞いたり,自分の考えを伝えさせたりすることによって,他者理解を促進させるようにする。◇発表の中で,自分の経験からくることを話し出したときは「似た経験があるのかな?」と問い返し,自分ごととして捉えさせる。○「成功=完成ではない」という山中さんの言葉から,どんなことがわかりますか。・成功したからといって終わっていたら,そこから先に進めないということ。・成功したら,もっと高い目標を立てていけば,もっと新たなことが発見できる。・成功したから終わりではなく,続けていくことでより大きな発見につながる。◇発表したことを板書する際,児童の名前カードを使うことで,考えたことや対話を可視化できるようにする。◇価値理解,人間理解,他者理解につながる発言や発表に対して問い返す。◇黒板に書くときに色分けして残すことによって,振り返りに活用できるようにする。終末3 自分の生活を振り返る。○今日の学習を通して,学んだことを書きましょう。・2学期は目標があっても途中で忘れてしまったり,諦めていたりしたけれど,何のために始めたのかを考えて続けるようにしたい。・今までは努力が続かなかったけれど,中学校に向けて立てている目標があるから,山中さんのようにくじけず続けていきたいと思った。・今までは目標を達成したら終わっていたけれど,これからは「成功=完成」ではなく,より高い目標をもって挑戦し続けていきたい。◇教材を通して学んだことや友達との対話を通して気づいたことをもとに,今までの自分を振り返って書けるように助言する。☆困難があってもくじけずに努力するには何が大切か,自分の生活との関わりで考えることができたか。(ワークシート,発言)内容項目 : A「希望と勇気,努力と強い意志」終わりなき挑戦山中伸弥さんが困難や挫折を乗り越える姿に着目し,どんなに苦しくても諦めずに努力し続けることがなぜ大切なのかを理解させ,自分自身との関わりで考え,くじけずに夢と希望をもって努力を続けていこうとする心情を育てる。iPS 細胞の向こうに主題名 教材名 (『小学道徳 生きる力 6』日本文教出版)ねらい対話を通して育む道徳科の理解と気づき(1)経験を問う子どもたちの発表やつぶやきを聞いていると,教材の登場人物に自分を重ね,その登場人物について話すように自分のことを話すことがある。教材について話しているようで,実は無自覚に自分のことを話しているのである。そこで「似た経験があるのかな?」「~さんも同じような経験があるの?」と問い返すことで,無自覚であったことが少しずつ自覚に変わり,自分のことをわかってもらおうと,自分の経験を語り出していく。教材のことを話しているようで,自分の経験を話すことで,自分ごととして学習を捉え直していくことができる。すべてが経験したことにつながるわけではないが,子どもたちが話す言葉を注意深く聞くことはたいへん重要である。(2)子どものつぶやきをグループ活動で生かす子どもたちの様子を見ていると,よく発表する児童と,黙って話を聞いている児童とに分かれることがある。授業は子どもたちの発表抜きでは成立しないので,よく発表する児童中心の授業になることも多い。終末に書かせる感想を見ればすべての児童の考えがわかるが,途中で誰の発言を聞いてどのように考えが変わったのかまでは,なかなか見取ることができない。そこで取り入れたいのは,ペアやグループでの交流である。これは教師が苦し紛れに取り入れるものではなく,「全体での発表に苦手意識はあるけれども,自分の考えをもち授業に参加している」という児童への支援の一つである。ペアやグループでお互いの考えを交流させることで,頭の中で浮かんでは消え,また浮かんでは消える自分の考えを,すぐに隣の児童に伝えることができる。友達との交流は,自分の考えに自信がない人から話すことが大切で,そのとき相手の児童には,じっくり話を聞くことを徹底させたい。注意することとしては,相手の考えを「わかろうとする」ことと,わからないことは「尋ねる」という活動が展開されるようにすることである。対話において大切なのはあくまで聞くことなので,グループ活動では自己主張をし合うのではなく,他者理解につながる視点を明確にして行っていく必要がある。(3)高まった価値から自己理解を深める価値理解,人間理解,他者理解を十分に深めることができれば,より高まったところから自己を見つめることができる。価値理解や人間理解だけでは,表面的な学習になりかねない。そこで,展開の中で3つの理解につながる学習活動が必ず行われるようにし,それぞれの理解を十分に深めたうえで,自己を見つめることができるようにする。(4)振り返りを子どもたちに返す学習の振り返りでは,今までの自分(教材に出合うまでの自分)とこれからの自分を見つめる習慣をつけさせるようにしておく。子どもたちの振り返りは,教材についての感想になることが多々ある。しかし,道徳科における振り返りでは,自分自身と重ねて考えたことを自覚的に振り返らせたい。教材という共通の土台で,対話を通して学習の理解が深まれば,そこには新たな気づきが生まれる。その気づきは一人ひとり違うことから,できる限り多くの児童が発表する時間を取りたい。お互いが考えたことを知ることこそ,多面的・多角的な理解につながっていくものと考えられる。対話を通して育む道徳科の理解と気づき16 17