ブックタイトルどうとくのひろば No.26 教科書特集号

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どうとくのひろば No.26 教科書特集号

自分への振ふり返り ○印をつけよう。今日の学習の内容は 印象に残った印象に残らなかった友達の意見や話し合いから,新しい発見や気づきが あったなかった自分の考えを深めることが できたできなかったこれから大切にしたいことが わかったわからなかった29月   日友達の意見や話し合いをメモしよう。教科書148~153ページ友達のよさ28 旗便利なドット罫評価への活用,家庭との連携新ユニット「よりよい社会と私たち」新学習指導要領の理念「社会に開かれた教育課程」で求められているのは,学校と社会が連携して,これからの社会を担う子どもたちの資質・能力を育んでいくことです。この理念をもとに,ユニットは「社会への参画」と「将来の生き方」の2種類で構成しています。文字だけでなく図などさまざまな表現方法に対応できるように,ドット罫を入れました。発問は柔軟に実際にノートを使う先生の意見を参考に,発問をあえて掲載せず,空欄にしました。教科書の発問に限らず,先生オリジナルの発問などを自由に設定できます。※ 教科書本冊で「学習の進め方」を設定している教材については,学習の流れがわかりやすいように,「道徳ノート」にも発問を記載しています。37自分への振ふり返り ○印をつけよう。今日の学習の内容は 印象に残った印象に残らなかった友達の意見や話し合いから,新しい発見や気づきが あったなかった自分の考えを深めることが できたできなかったこれから大切にしたいことが わかったわからなかった月   日友達の意見や話し合いをメモしよう。どんな教材でも使える「フリーノート」(巻末)も用意しています。ポートフォリオとしても活用可能教材に関わる補助資料や自作のワークシート,付箋などを貼り付けて,授業の記録を蓄積できます。他の学習と合わせたユニット2 年生では,職場体験学習の事前・事後に合わせて配置し,生徒がより実感をもって学習できるようにしています。新学習指導要領の理念「社会に開かれた教育課程」を実現するために,新ユニット「よりよい社会と私たち」を1 年間に複数配置しました。生徒自身の生き方とよりよい社会との関わりについて,実感をもって考えられるようにしています。未来を担う生徒たちのために発問欄を空欄にすることで,生徒の実態や授業スタイルに合わせて柔軟に活用できるようにしました。ノートに生徒の学習を積み重ねることで,道徳科の個人内評価や家庭との連携が無理なく実現できます。より自由に,より使いやすく1年 p.58「9 ふれあい直売所」 1年 p.172「32 役に立つことができるかな」進路,キャリア教育など市長選に関わる主人公と家族との会話から,将来の選挙権について考えられる教材です。共生社会,主権者教育など義肢装具士の臼井二美男さんの生き方から,働くことの意義について考えられる教材です。「社会への参画」に関わるユニット3 年生への備え 職場体験学習の事前・事後進路に関わる教材「将来の生き方」に関わるユニット主権者教育に関わる教材特集2 ここがいい! 令和3年度版よりよい社会を創造する特色3心の成長を記録する(別冊「道徳ノート」)特色42年もくじ道徳科で学ぶこと・道徳科での学び方2この教科書で学ぶテーマ41自分の弱さと戦え6よりよい社会と私たち102おばちゃんのくれた〝おまじない?123挨あい拶さつは言葉のスキンシップ16直ちょく撃げき 仕事インタビュー!204最後のパートナー22「いじめ」と向き合う285五月の風―カナ―306五月の風―ミカ―34自分の考え方を見つめよう387リスペクト アザース40人権課題への取り組み448名乗り出なかった友 469戦争を取材する5010海と空―樫かし野のの人々―5411美しい鳥とっ取とり砂さ丘きゅう6012和かず樹きの夏祭り6413ハイタッチがくれたもの68「いじめ」をなくすために72「いじめ」と向き合う?「いじめ」と向き合う? よりよい社会と私たち?14ヨシト7415ネット将しょう棋ぎ80情報モラル インターネットでの情報発信8416樹じゅ齢れい七千年の杉すぎ8617「自分」ってなんだろう9218小さな工こう場ばの大きな仕事9819体験ナースをとおして10220行動する建築家 坂ばん 茂しげる10621さよなら、ホストファミリー11022夜のくだもの屋11423初心12024ライバル12425オーストリアのマス川12826よみがえれ、えりもの森132環かん境きょう保全と持続可能な社会13827ダショー・ニシオカ14028コトコの涙なみだ14429門かど掃はき15030避ひ難なん所にて154安全に生きる つながりを減災に生かすために15831命を見つめて―猿さる渡わたり瞳ひとみさんの六百四十六日―16032足た袋びの季節16833恋こいする涙なみだ17434包む18035きいちゃん186Mマイy Oオウンwn Rロードoad―僕ぼくが創る明あした日― 巻末よりよい社会と私たち?よりよい社会と私たち?改訂ポイント改訂ポイント15 10 510 520 159 ふれあい直売所58「今日も一日、暑くなりそうねえ。」玄げん関かんの扉とびらを開けて、外へ出てきた私は、開口一番にこう言った。私は結けっ婚こんと同時に、東とう京きょうから、この愛え媛ひめ県西さい条じょう市に住み始めた。早いものでもう二十年になる。それまでまったく関心がなかった農家に嫁とつぎ、自分が農業を営むことなど、ここに来るまで考えたこともなかった。東とう京きょうで育った私にとって、西さい条じょう市での生活は慣れないことの連続で、最初は苦労も多かったが、今ではすっかりこの土地の住人となっている。私の家では、ビニールハウスも利用して、一年をとおしてさまざまな種類の野菜を育てている。収しゅう穫かくした野菜はほとんど都会へ出しゅっ荷かしているのだが、一部の野菜だけは、道路沿いの庭先に並べて販はん売ばいしている。一人暮らしの人、大家族の人、さまざまな家庭に提供したいと思って、野菜を小さく束ねたり、透とう明めいのビニール袋ぶくろに入れたりして、販はん売ばいの工く夫ふうをしている。また、誰だれでも気軽に買えるように、すべて百円にして屋根付きのスタンドに並べ、代金はそばに置いてある空き缶かんに入れるようにしているのだ。そのため、お客さんと私が顔を合わせることはあまりないが、野菜はいつもすべて売り切れている。私は、この直売所が好きだった。ある年のお盆ぼん、私は収しゅう穫かくした野菜を手土みやげ産に、家族とともに東とう京きょうの実家へ帰った。実家には妹も家族で帰省していた。私と妹が顔を合わせるのは本当に久しぶりで、この年は、にぎやかだった。母が夕食の支し度たくをすると言ったので、私は手土みやげ産の野菜を母に差し出した。「東とう京きょうでは野菜が高いから、助かるわ。」と喜ぶ母の顔を見て、私も自然と笑えがお顔になった。私は、妹と夕食の手伝いをしながら、お互たがいの近きん況きょうを話していた。「お姉さんの家で採れた野菜って、大おお阪さかや東とう京きょうに出しゅっ荷かしているんでしょう。都会では野菜の値段が高くつくから、けっこうもうかるんじゃないの。」「あなたが思うほどもうかっていないのよ。それに野菜をぜんぶ出しゅっ荷かしているわけじゃないし。」そう言って私が庭先の無人直売所のことを話すと、妹は驚おどろいた様子で聞いてきた。「えっ、一束たったの百円で売っているの。それでお金はちゃんと入っているの。」「ぴったりというわけにはいかないけど……。だいたい入っているかな。」と、私は笑えみをうかべて答えた。すると、「だいたいって、姉さん。昔は私の住む辺りにも無人直売所があったわ。でも、今は一つも残っていないの。お金を入れずに野菜だけ持ち帰る人がいるのよ。誰だれも見ていないから、不正をしたってわからないものね。そんな人が増えてくるから、経営が成り立たなくなったんですって。姉さんの直売所は、今は大だい丈じょう夫ぶみたいだけど、そのうち同じようなことになるんじゃないの。一束百円で売ったところで、もうけにもならないんだから、早いうちにやめて、ぜんぶ出しゅっ荷かに回したほうが得よ。」●野菜の直売所9ふれあい直売所きまりを守る社会私59 9 ふれあい直売所5 15 10 520 15 10173 32 役に立つことができるかな 32 役に立つことができるかな 172僕ぼくの通っている中学校では、一年生で職場体験をすることになっている。僕ぼくたちの班が希望したのは消防署だった。かっこいいし、いろいろな体験ができると思ったからだ。職場体験の日、僕ぼくたちは若わか葉ば台だい駅で待ち合わせをし、隣となりの駅まで電車に乗っていった。電車の中では、みんなワクワクしながらどんなことが体験できるのかを話したり、質問することの確かく認にんをしたりしていた。あっという間に電車は寺てら坂さか駅に着き、そこから消防署に向かった。消防署に着くと署員の方々が出で迎むかえてくれた。初めに学校で考えてきた質問をした。ここでは六十人以上の人が働いていること、二十四時間態勢で災害に備えていること、そのために毎日いろいろな訓練をしていることなど丁てい寧ねいに教えてもらった。次はいよいよ体験活動だ。まず人工呼吸や心臓マッサージなどの救命法の講習を受けた。人形を使って実際にやってみたがけっこう難しい。そのあと消火訓練にも取り組んだ。ホースを持って放水するが、水圧が強くて狙ねらった場所になかなか当たらない。消防士の方に手伝ってもらってやっと的に当てることができた。最後に、はしご車のはしごが伸のびるところを見せてもらった。実際の現場では三十メートルもの高さで救助活動をすることもあるそうだ。一日の職場体験を終え、署の方々にお礼を言って駅に向かった。僕ぼくたちは今日のことについて話をしながら歩いた。消防士は「かっこいい」というだけでできる仕事ではないことがよくわかった。その日の帰り、寺てら坂さか駅から電車に乗った。僕ぼくたちは立ったまま話をしていた。ふとドアの辺りに目をやると、小学生くらいの男の子が何人か立っていた。遠足の帰りらしくみんなリュックサックを背負っていた。少し離はなれたところで先生らしい人がニコニコしながら彼かれらを見ていた。すると男の子のうちの一人がとつぜん、「次は若わか葉ば台だい、若わか葉ば台だい。」と大きな声で言いながら、右手を指さし確かく認にんのように左右に振ふりだした。みんなもびっくりして彼かれの方を見た。周りの人たちも同じように不思議そうに彼かれを見ている。しかし、その子はお構いなしに「次は若わか葉ば台だい。」と言いながら腕うでを振ふり続けている。そのうち、すぐ横で眠ねむっていた若い男の人が、「うるせえんだよ、寝ねてらんねえよ。」と立ち上がり、その子の顔をにらみつけた。男の子は急に不安そうな顔になり、落ち着かない様子だ。僕ぼくは、ドキドキと心臓が高鳴り、思わず目を背そむけてしまった。次の瞬しゅん間かん、若い男の人は「チェッ。」と言って、そばのドアを蹴け飛とばして隣となりの車両に移っていった。男の子は両耳を手でふさぎ、ドアの隅すみに立って震ふるえながら「悪くない、悪くない。」とつぶやいている。すると先生が近づき、笑えがお顔で何かを話している。二言三言声をかけると男の子は安心したのか、とても穏おだやかな顔に変わっていった。僕ぼくたちはほっとして顔を見合わせた。まもなく若わか葉ば台だい駅に到とう着ちゃくし、僕ぼくたちは電車を降りた。32役に立つことができるかな僕ぼく働くことの尊さ20 15 10 5 10 5▲選挙公報公職の候補者の氏名、経歴、政見などを掲けい載さいした文書。171 31 サトシの一票 31 サトシの一票 170サトシの部屋の窓からは、人ひと気けのない公園が見える。かつて公園のシンボルだった桜の木は長いあいだ放置され、今ではすっかり荒あれ放題になっている。マンションが建つとうわさされていたこの公園は、市長選を前にして、いきなり再整備計画がもち出された。「桜や紅もみじ葉を公園に植樹して見物客を多く集め、街の活性化を図はかろう。」と現職の市長が立候補すると、すぐに、「子どもたちが安全に遊べる遊具を設置し、住民が安心して子育てできる環かん境きょうを整えよう。」と対立候補が立ち上がったのだ。市長選を日曜日に控ひかえ、外からは、選挙カーの大きな音が聞こえてくる。市民の間でも意見が分かれ、選挙の行ゆくえ方は不透とう明めいだそうだ。「選挙カーの音が大きくて、勉強に集中できないよ! 明日から試験なのに……。」自分の部屋からリビングに来たサトシは、母にうんざりした顔で訴うったえた。「しかたがないでしょう、選挙が近いからね。」「選挙は俺おれたちの未来を左右する、大切な機会なんだぞ。」と、新聞を読んでいた兄が顔を上げて口をはさんできた。「なんだよ、兄貴。知ったかぶりして。」母と兄の顔を見比べながら、サトシは、不服そうにソファに腰こし掛かけた。「兄貴は十八歳さいで、今回が初めての選挙だろう。選挙の何がわかるのさ。」「俺おれは、受験生なの。選挙の大切さも勉強済みさ。」二人の会話を聞いていた母は、新聞を持ってサトシの横に座すわった。サトシの目の前に広げられた紙面は、『選挙公報』だった。「二人ともやめなさい。サトシも十八歳さいになったら、きっとわかるわ。サトシ、選挙公報をよく見て。荒あれ放題になっていた公園が整備されるかもしれないの……。」「やめてよ。僕ぼくには関係ないんだから。」思わずサトシは母の言葉を遮さえぎった。「あら。サトシは、公園が新しくなるの、うれしくないの。お母さんは、桜並木にしても遊具にしても、今のままよりはいいと思うんだけど。」「母さん、無理むり。選挙がなんなのかまだわからないサトシには、実感ないでしょ。」 兄にそう言われたサトシは、むっとしながら反論した。「しかたないだろ。僕ぼくには選挙権がないし、今は試験勉強で手いっぱい。まあ、公園のことは大人に任せておけばいいさ。」すると、ちょうど帰宅してきた父が、サトシを見て言った。「どうしたサトシ、難しい顔をして。日曜日の野球の試合、応おう援えんに行くからな。その前に試験を頑がん張ばってくれよ。」?31サトシの一票よりよい社会の実現サトシ新教材 3年 p.122「21 失った笑顔を取り戻す」 新教材 3年 p.170「31 サトシの一票」SDGs(持続可能な開発目標)の考え方にも関わるユニットです。本誌P.2に対談を掲載!道徳科の時間を通して,友達の考えをよく聞いて受け入れながら,自分の考えを広げていました。「挫折から希望へ」では,話し合いで自分とは違う考えに触れ,「道徳ノート」には「あきらめないこともあきらめることもあっていい」「自分自身で決めればいい」という記述があり,異なるどちらの考えも理解しようとしていました。Aさんへの評価文(例)「道徳ノート」で家庭と連携できるのはいいですね。私のクラスのAさんは,授業の様子を家庭であまり話さないようです。しかし,ある授業でのAさんの意見がとても素晴らしかったので,評価でも取り上げたところ,保護者の方から「自分の子どもの成長がわかってうれしい」と喜ばれました。1年 道徳ノート p.29「28 旗」「考え,議論する道徳」につながる記入欄を左右に並べたことで,自分と友達の考えを対比して考えを深めやすくなりました。あすを生きる生徒の成長に合わせた教材最高学年である3 年生では,進路や主権者教育に関わる教材で,生徒自身の生き方とよりよい社会との関わりについて考えられるようにしています。8 9