ブックタイトルこれからの道徳科の授業と「道徳ノート」の活用

ページ
3/8

このページは これからの道徳科の授業と「道徳ノート」の活用 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

これからの道徳科の授業と「道徳ノート」の活用

? 「 考える道徳」「議論する道徳」 さて,ねらいが明確になると,次に求められるのは,ねらいとする道徳的価値について,子どもたちにどのように考えさせ,自分の生き方についての考えを深めさせるか,という道徳科の指導方法の質を高めるということです。 そのキーワードが「考える道徳」「議論する道徳」です。この「考える道徳」「議論する道徳」で大切なことは,ねらいとする道徳的価値について,「話し合い,考え合い,深め合う」ということです。 特に「議論する道徳」という言葉から,ディベートのようなことを考えがちになりますが,道徳科の授業で大切なことは,「ねらいとする道徳的価値について,子どもたちが授業を通じて自分なりに生き方についての答え(思い)をもつ(深める)」ということであり,子ども一人一人が道徳的価値に関わる自分の思いや考えを伝え合い,話し合って,多面的・多角的に考え,自己理解を深める学習活動の指導法を意味すると捉えることができます。 一般的に道徳の学習指導過程は,「導入」,「展開」,「終末」で構成されますが,「小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編」には,「展開は,ねらいを達成するための中心となる段階であり,中心的な教材によって,児童一人一人が,ねらいの根底にある道徳的価値の理解を基に自己を見つめる段階であると言われる。」と示されています。 つまり,「考える道徳」については,学習指導過程のすべての段階を通して言えることですが,「議論する道徳」では,主に「展開」の段階で,ねらいとする道徳的価値についての話合いで進められることになります(上図①)。 そして,これらの学習を進めるための一つの指導方法として「問題解決的な学習」や「道徳的行為に関する体験的な学習」があります。 道徳的価値について,子どもたちが自分のこととして捉え考えること(自我関与)をもとに,これらを含めた多様な指導方法を授業のねらいや発達の段階に応じて適切に取り入れることで,「考える道徳」「議論する道徳」を進め,道徳授業の質を一層高めることが大切です。 また,「考える道徳」「議論する道徳」を進めるためには,その前提として,ねらいとする道徳的価値に関わる様々な思いをもつことができるような「教材提示」の工夫や「発問」,「話合い」,そして「書く活動」などの指導方法の工夫は,極めて大切です。? 道徳科の評価 道徳科の完全実施に伴い,もう一つ大切なこととして「道徳科の評価」があります。 これまでも,道徳の時間の評価については,平成20 年の学習指導要領解説に示されていたように,学校生活全体での教師と子どもの心の触れ合いを通して,共感的に評価することを前提に,観察や会話による方法,作文やノートに書かれたことにより評価する方法,あるいは質問紙や面接等による方法など,様々な方法で行われてきました。 そして,全教育活動を通して行う道徳教育との関わりを含めて,指導要録の「行動の記録」や「総合所見及び指導上参考となる諸事項」の欄に書くことはあっても,すべての子どもに「道徳の時間の評価」として記述することは殆どありませんでした。 けれども,平成28 年7月に示された「道徳教育に係る評価等の在り方に関する専門家会議」の『「特別の教科 道徳」の指導方法・評価等について(報告)』によると,「道徳科については,指導要録上,一人一人の児童生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子について,特に顕著と認められる具体的な状況を記述する」ことに改善されます。 このことを受けて,学校から発行する通信簿(通知表)に,道徳科の評価を記述する形で加える学校もかなりあるようです。図①「考える道徳」と「議論する道徳」一般的な道徳の学習指導過程「考える道徳」導入 展開 終末学習指導過程のすべての段階を通して「議論する道徳」ねらいとする道徳的価値についての話合い3