ブックタイトル中学道徳 あすを生きる 『道徳ノート』を活用した評価実践例
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中学道徳 あすを生きる 『道徳ノート』を活用した評価実践例
2 3 道徳科の評価をする前に「道徳科の評価ってどうもよくわからない。」「各学期で計3回記入するけれど,成長の見取りってどうすればいいのだろう?」「評価に時間がかかる。」「他の先生との評価のばらつきが心配。」こんな声が聞かれる学校現場もあるのではないでしょうか。実際に道徳科の評価に取り組む前に,まずはその根拠を「学習指導要領」で確認してみましょう。 道徳科の評価の視点道徳科では,「道徳性を養う」という目標をもって指導するものの,道徳性は生徒一人ひとりの内面にある人格的特性なので,道徳性が養えたかどうかを評価することは困難です。そのため,評価では「道徳科の目標」に示された道徳性を養うための「学習活動」に着目します。特にどのような視点を重視するかは,「解説」に例示されています。 何を評価するのかそれでは,道徳科では何を評価するのでしょうか。これも「学習指導要領」に示されています。生徒の学習状況 道徳性に係る成長の様子指導要録や通知表では,上記の学習活動に着目して,この2つについて記述するということなのです。 道徳科の評価の方向性右の内容が,文部科学省が示している評価の方向性です。では実際に評価をするとき,どんなところに留意すればよいのでしょうか。 留意点① 他教科の評価との違い道徳科で生徒を評価するとき,他教科と違って「観点」とは言わず「視点」と言います。これは,道徳性が生徒一人ひとりの内面にある人格的特性のため,「道徳的価値をどれだけ理解できたか」のように目標への達成度を測る評価や分析的な観点別評価がなじまないものだからです。道徳科の目標の「道徳的諸価値についての理解を基に」が「理解し」ではないのも,他教科の知識理解とは異なり,道徳的諸価値は自分事として,自分なりの考え方として理解するものだからです。なお,教師の授業改善のための評価では,他教科同様「観点」を使います(詳しくは本資料p.8)。 留意点② 道徳科の評価の特質道徳科では,生徒の道徳性そのものは評価しません。また,特別活動や学校生活などでの様子の記述でもありません。道徳科の学習内での,道徳性を養う学習活動に着目することを改めて確認しましょう。一方で,単なる道徳科の学習の報告とならないように留意しましょう。学習活動から読み取れる生徒のよい点や成長の姿を記述することが,道徳科の評価です。生徒が,自分の考えや生き方について気づいたり深められたりしたことや,道徳科の学習で見られた姿勢や意欲を記述しましょう。 留意点③ 困難のある生徒への配慮評価の視点自体は,すべての生徒で共通しています。そのうえで,生徒個々人の困難さの状況を踏まえて,適切な配慮のある指導とセットで考えることが大切です。個人内評価であることのよさを生かして,生徒の成長を認め励ます評価を心がけましょう。道徳的諸価値についての理解を基に人間としての生き方についての考えを深める道徳科では,この学習活動に着目して,生徒の学習状況 道徳性に係る成長の様子 を評価特に次のような視点を重視道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度(道徳性の諸様相)道徳教育,道徳科で養うことを目指すが,養えたかどうかは評価が困難(道徳性そのものは評価しない)学校生活全体において具体的な行動として見られる部分は「行動の記録」や「所見」に記載(道徳科の評価とは異なる)学習を通して養う道徳性は実践の基盤となる自立した人間として他者と共によりよく生きる道徳科の学習活動 道徳性 実践? 道徳科の評価の根拠と基本的な考え方? 道徳科の評価の留意点道徳教育の目標(第1章 第1の2の(2))道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,人間としての生き方を考え,主体的な判断の下に行動し,自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とすること。 (解説p.153)道徳科の目標(第3章 第1)第1章総則の第1の2の(2) に示す道徳教育の目標に基づき,よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を広い視野から多面的・多角的に考え,人間としての生き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度を育てる。 (解説p.13)道徳科の評価の視点の例評価に当たっては,特に,学習活動において生徒が道徳的価値やそれらに関わる諸事象について他者の考え方や議論に触れ,自律的に思考する中で,一面的な見方から多面的・多角的な見方へと発展しているか,道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているかといった点を重視することが重要である。(解説p.112)道徳科の評価の方向性・他の生徒との比較ではなく,生徒の成長を積極的に受け止めて認め,励ます個人内評価・生徒一人ひとりの学習状況や道徳性に係る成長の様子を見取る・数値ではなく記述式で評価・道徳性の諸様相を分節し,学習状況を分析的に捉える観点別評価は妥当ではない(評価規準の設定なし)・個々の内容項目ごとではなく,大くくりなまとまりを踏まえた評価・年間や学期といった一定の時間的なまとまりの中で見取る・授業中の発言や姿,感想文,質問紙の記述や,それらを蓄積した記録物,プレゼンテーションなどの実演などを通して見取る・入学者選抜の合否判定に活用しない(解説pp.109 ~ 114 より要約,補足)これはいけません! 注意したい評価「○○さんは親切で心の優しい生徒です。」「○○さんは最後まで頑張れる生徒です。」×生徒の道徳性そのものは評価しません。「先日の体育祭では,道徳の授業で学習した内容を生かし頑張りました。」×道徳科外での行動や様子は,道徳科の評価には含めません。それらは各教科や活動の評価,「行動の記録」,「所見」に記載します。「道徳科の授業では,よく手を上げていました。」「思いやりの大切さについて書くことができました。」×状況の把握として不十分な記述(他教科でも言えるような行動など)や,単に行動ができた・できなかったでの評価は避けま しょう。発言や記述の苦手な生徒や,発達障害等のある生徒への配慮の例●発言や記述の苦手な生徒,日本語習得に困難のある生徒教師や他の生徒の発言に聞き入ったり,考えを深めようとしたりしている姿に着目する。●コミュニケーションが苦手,心情理解などの難しい生徒役割演技,話し合いルールの明確化,ICT機器の活用,興味を引くわかりやすい言葉での語りかけ,教員の立ち位置,理解のための補助など,学習指導過程で想定される指導上の工夫,配慮を見直す。●海外から帰国した生徒や外国籍の生徒それぞれの文化や習慣など,生徒の置かれた状況を考え配慮する。(解説pp.113 ~ 116 より要約,補足)道徳科の評価(第3章 第3の4)生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し,指導に生かすよう努める必要がある。ただし,数値などによる評価は行わないものとする。(解説p.109)自己を見つめ道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているか一面的な見方から多面的・多角的な見方へと発展しているか物事を広い視野から多面的・多角的に考え