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概要

中学社会 実践ファイル

生徒の活動と内容指導上の留意点①導入:モンゴル帝国の範囲を地図帳で 確認してみよう。生 モンゴル帝国は,広大すぎて東アジアの地図じゃ,収まらないよ。教そうだね,世界史史上最大の国家だったんだよ。生 その強大な国が日本になぜ攻めてきたの?・教科書P.61 を参考に,地図帳では東アジアのページだけでは収まりがつかないことを生徒に認識させる。・モンゴル帝国が拡大した影響をおさえる。 交通路の整備,東西貿易の促進,イスラム教徒の商人たちの存在(担い手) など②展開:元寇の様子を調べ,その影響を考えよう。生日本を服従させようとしたんだよね。生朝鮮半島の国,高麗の存在があったよね。教日本の戦いと元軍の戦いの違いは?生 日本軍は馬一騎で攻めているよ。生 元軍は集団で弓を引いて,火器が使われている。教2回の戦いとも,日本軍は勝利したんだよ。生 1回目は向こうが撤退し,2回目は台風が来たんだよね。教戦いに勝った御家人(=武士)たちはどうなったと思う?生 勝ったんだから,将軍から褒美をもらった。生 でも,こちらが攻めていないので,土地は取れないよ。生 ご褒美をもらえなかったら,借金はどうするんだろうね?教防衛戦だったこの戦いの褒美は,全員にはあたらなかったんだ。 だからみんなも知っているように,竹崎季長のように,自分はこ れだけ戦ったという証拠を幕府に示し,恩賞をとろうと努力し たんだよね。生 その後の武士たちはどうなったの?教生活が苦しくなった。借金が増えた。生 それで幕府は徳政令を出すことにしたんだよ。・教科書P.72 の蒙古襲来絵詞を見せながら考えさせる。・文永の役は元軍が突如撤退したこと,弘安の役では海上で暴風雨により大きな被害が出たことをおさえる。・当時の御家人たちは,戦時では自分で戦う準備をしなければならず,そのため借金をして準備したことをおさえさせる。なぜなら,勝利すると褒美として土地が与えられ,収入が増えるからである。・恩賞を求める為に,御家人たちは様々な手を打つことになる。恩賞がないと,借金は返せなくなり,自分の生活はますます苦しくなるからである。・自給自足の封建社会において,貨幣経済が入ることで,どんな影響がおこったのかをおさえる。③次の予告:鎌倉幕府の滅亡と建武の新政教一時的には良かったと思う武士は多かったと思う。生 でも,高利貸はもう武士にお金を貸さないと思う。教武士の生活が苦しくなるとどうなるだろう。生幕府に改善を要求すると思う。生 いや,幕府を倒す勢力が拡大すると思う。教幕府に恨みをもっているのはだれ?  生北条氏以外の勢力だね。朝廷はどうなんだろう。・御家人の生活を救うための徳政令であったが,そもそも借金の棒引きをすることは,それを貸す側はどうなるのかを生徒に考えさせる。・元寇にかろうじて勝利した幕府にとって新たな敵は国内に存在していたことを意識させ,次時に繋がるようにしたい。本時の展開例10分30分10 分…配分時間教…教師の発問・指示・説明例生…予測される生徒の発言学習問題  モンゴル帝国(元)が日本に攻めてきたのはなぜだろうか?学習問題  徳政令が出たのになぜ,御家人の生活は改善できなかったのだろうか?      本実践で見習いたい点の第1は, 元寇を広くユーラシアの変化の中に位置付けるという新学習指導要領の趣旨を明確に踏まえていることです。 驚くほど広大なモンゴル帝国が, 高麗など諸国家と結んだ「支配-貢納」の関係を日本にも及ぼそうとしたという, 元寇の世界史的な背景がつかめてきます。第2は, 元寇自体の動きについて, 小学校での学習をうまく活用していること。 第3は, 元寇後の御家人の動静を, 問答を通してわかりやすく捉えさせていること。 これらが, 三つの「発問例」とそれに対応した「板書例」によく整理されています。本時の目標本時の評価モンゴル帝国の拡大によるユーラシアの動きと結び付け,地理的な確認をもとに,モンゴル帝国のアジアからヨーロッパにまたがる広大な領地を支配し,東西の貿易や文化の交流が陸路や海路を通して行われたことなどに気付く。また,元軍を退けた武士たちが,その後なぜ落ちぶれ,幕府の支配がゆらいだのはなぜかを考察させる。鎌倉幕府が元寇後に衰えた理由を自分のことばで説明することができる。群馬大学教授 中尾 敏朗先生からの5