ブックタイトル中学社会 見方・考え方はこう働かせる

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概要

中学社会 見方・考え方はこう働かせる

   こで今一度,教科書の紙面で確認してみたい。教科書P.125に,経済学習の導入場面として「お金の使い方」という【アクティビティ】が示されている。もらったお年玉5000円を使ってどのような選択をするか,というものである。この【アクティビティ】をおこなう際,生徒は自然と「希少性」(人の限りない欲求に対して,消費することのできる資源には限りがあること)に着目してお金の使い方を考えることになる。つまり,「希少性」という概念を理解し,これを踏まえてお金のそ問領域が政治学,法学,経済学,社会学など多様であるため,どうしても「見方・考え方」を構成する概念が多くなる傾向にある。とはいえ,それぞれの学習内容の特質に応じて示された「見方・考え方」を働かせ,「課題を追究したり解決したりする活動」をとおして深い学びを実現し,「公民としての資質・能力の基礎」を育むことが期待されていることから考えると,教科書には「見方・考え方」を効果的に働かせることができる紙面構成が求められているのではないだろうか。使い方を考えれば,より適切な選択ができると気づくことができるように,この【アクティビティ】は構成されているのである。 また,この見開き2ページの【学習課題】は,「私たちと経済のしくみは,どう関係しているのでしょうか。」という問いである。つまり,「希少性」に着目してお年玉の使い方を考えることから始め,ひいては所得,時間,土地,情報など限られた条件の下で企業や政府などの経済活動がおこなわれていることの理解につなげていく「ガイド」としての役割が「見方・考え方」にはある,といえよう。 公民的分野のすべての見開きページに,学習内容に即した【見方・考え方コーナー】が示されている。これらの「見方・考え方」を働かせて【学習課題】を解決し,深い学びが実現されることを期待したい。樋口 雅夫(ひぐち まさお)専門分野/社会科教育学・公民教育主要著書/『中学社会をよりよく理解する。』(共著,日本文教出版,2008 年)『中学校学習指導要領(平成29 年告示)解説 社会編』(編集担当,東洋館出版社,2018 年)日本文教出版『中学社会』教科書著者1234この教科書によって生徒の学習がどのように変わるのか第3 編 私たちの生活と経済だけ雇うかなど,多くの選択をしなければなりません。このとき,資源をむだなく使い,効率的な生産をするには,できるだけ上手な選択をする必要があります。なぜなら,企業が商品を生産するために使える資源にも,生産することのできる商品にも希少性があるからです。 私たちが将しょう来らい,どのような職業について,どのような働き方をするのかも,大切な選択です。限られた時間のなかで,自分の能力を最大限に生かすことが望ましいでしょう。そうして得られた給料などの所得を,私たちのよりよいくらしのために使うのです。私たちの生活に必要なものの生産・流通・消費のしくみの全体を経けい済ざいといいます。経済活動は,家計・企業・政府(国や地方公共団体)によって行われます。 家計・企業・政府の経済活動は,それぞれに影えい響きょうをあたえます。経済はたがいにつながり,循じゅん環かんしているのです。そのような関係のなかで,どのような人々が,希少な資源の使い道をいかに選択し,人々のくらしや社会を支えているのかを学ぶことが,経済の学習での大きな目標です。経 2 けい済ざいの循じゅん環かんあなたなら,お金が8760円あれば何に使いますか。お金は何かに消費してしまえば,別のものが買えなくなるかもしれません。そのため,何に使うかを選せん択たくしなければなりません。時間も同じです。中学3 年生の1 年間は8760時間(365日×24時間)です。そのなかで勉強や部活,睡すい眠みん,遊びの時間をどう配分するのかを選択しなければなりません。 もしお金や時間が限りなく使えるなら,私たちは選択をせずに,望むものを限りなく消費していくでしょう。しかし,実際には私たちの買いたいものや,やりたいことに対して,お金や時間などの資源は限られています。このように,人の限りない欲求に対して,消費することのできる資源に限りがあることを希き 少しょう性せいといいます。私たち個人だけでなく,社会のなかでは,企き業ぎょうや学校,国や地方公共団体などもそれぞれ重要な選択をせまられています。例えばパンは,パン屋さんがさまざまな原材料を使い,必要な従じゅう業ぎょう員いんを雇やとって生産しています。生産にあたっては,どの原材料をどれだけ使うか,どのような人をどれ11資源と選せん択たくの効率性私たちのくらしの中から,希少性のある資源を有効に使っている例をあげてみましょう。確認1 希少性のあるもの・ないもの希き少しょう性せいがあると言えるのはどの場合かな。限りない欲求と限りある資し源げん経けい済ざい1 のしくみ見方・考え方希少性と選択に着目して,お金や資し 源げんの使い方を考えましょう。希少性学習 課題私たちと経済のしくみは,どう関係しているのでしょうか。この場合の資源とは,お金,時間,土地,情報など,人間が生活をしたり商品をつくったりするために使うことのできるすべてのもののことです。12 経 済全体のしくみアクティビティ▼お金の使い方時 間空 気宇う宙ちゅう空間での空気代金/労働力財・サービス/賃ちん金ぎん税金税金社会資本・公共サービス社会資本・公共サービス家計(消費)企き業ぎょう(生産)政府(財政)金融P.122?123の漫まん画が では,どのようなものに希少性があると言えるのか,説明してみましょう。深めよう あなたは,お年玉として5000円をもらいました。①以下のようにお金を使うとして,あなたならどのような選択をするか,考えてみましょう。えんぴつ100円映画のチケット1500円ゲームソフト5000円参考書2000円ワンピース4000円漫画700円カラオケ1000円部活の用具4000円おかし20円貯金3経 済125経けい済ざ いのしくみと消費生活11245101551015▲ 公民P.124-125「経済のしくみ」7