ブックタイトル中学社会 新しい学習評価のポイントとは

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中学社会 新しい学習評価のポイントとは

心構え編 評価改革がめざすもの京 都 大 学石井英真   たな三観点による評価のあり方について,「知識・技能」において,事実的で断片的な知識の暗記再生だけでなく概念理解を重視すること,「主体的に学習に取り組む態度」を授業態度ではなくメタ認知的な自己調整として捉えなおし,「知識・技能」や「思考・判断・表現」と切り離さずに評価することなどが提起されている。すべての観点において,思考・判断・表現的な側面が強まった    体的・対話的で深い学び」を通じて育まれる資質・能力の評価について,資質・能力の三つの柱との整合性をもたせるべく,現行の四観点による観点別評価は,三観点(?知識・技能,?思考・判断・表現,?主体的に学習に取り組む態度)に改められる。そして,資質・能力をバランスよく評価するために,知識量を問うペーパーテストのみならず,論述やレポートの作成,発表,グループでの話し合い,作品の制作や表現等の多様な活動を通した評価(パフォーマンス評価)を用いるなど,多面的・多角的な評価が必要とされている。 このように書くと,現場からは,「思考・判断・表現」,さらには「主体的に学習に取り組む態度」なんて,どうやって客観的に測るのか,そもそも評価なんてできるのか,評価に時間を取られて授業がおろそかになる,といった声が聞こえてきそうである。特に,現行の小・中学校の観点別評価は,毎時間の授業観察で「思考・判断・表現」や「関心・意欲・態度」の表れを見取る評価として捉えられがちである。その結果,授業において常に教師が評価のためのデータ取りや学習状況の点検に追われる事態(「指導の評価化」)が生じている。 しかし,本来観点別評価は,めざす学力の質の違いに合わせて多様な評価方法の使用を促す点に主眼があり,1単元や1学期といったスパンで考えるべきものである。後述するように,知識の暗記・再生ならペーパーテストで測れるが,意味理解や応用力を測るには,論述式問題やレポートを用いるなど,評価方法を工夫せねばならない。そうした観点別評価のあり方をイメージするには,たとえば,大学の授業の成績評価を思い浮かべるとよい。大学の科目では,ペーパーテストや授業中・授業後のレポート課題などの評価方法とその割合がシラバスに記載されており,前者で「知識・技能」を,後者で「思考・判断・表現」を評価することが暗黙に想定されている。 さらに,評価に関する議論の混乱を解きほぐし,現場の負担を減らす方向で評価改革を進めていくうえで,「評価」概念そのものを整理しておく必要がある。評価という仕事の負担感の大部分は,総括的評価(最終的な学習成果の判定〔評定〕のための評価)と形成的評価(指導を改善し子どもを伸ばすために行われる評価)とを混同していることによる。思考力・判断力・表現力を形成するために授業過程での子どもたちの活動やコミュニケーションをしっかり観察(評価)しなければならないのは確かだが,それは形成的評価として意識すべきものである。総括的評価の材料なら,子ども一人一人について,確かな根拠をもとに客観的に評価することが求められる。しかし,形成的評価なら,指導の改善につながる程度の厳密さで,ポイントになる子を机間指導でチェックしたり,子どもたちとやり取りしたりすることを通して,子どもたちの理解状況や没入度合などを直観的に把握するので十分である。形成的評価と総括的評価を区別することで,評価に関わる負担を軽減することができるとともに,授業の中で無自覚に行われてきた子どもの学習状況の把握場面を形成的評価として意識することは,授業改善に直結するだろう。 今回の評価改革では,形成的評価と総括的評価とを区別したうえで,評定以上に教師の指導改善,さらには学習者自身の学習改善につながる評価であることが強調されている。また,評定についても,5段階で数値化する総合評定以上に観点別評価(分析評定)を重視する方向性が提起されている。いかに客観的に測定・評定するかのみにとらわれがちな判定ベースから,いかに子どもを伸ばすかを第一に考えるコミュニケーション(対話)ベースへと評価観の転換が求められているのである。123評価観の転換?判定ベースから対話ベースへ?「主123新三観点による評価のあり方?学力の三層構造を意識する?新2