ブックタイトル中学社会 新しい学習評価のポイントとは

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概要

中学社会 新しい学習評価のポイントとは

ように見えるが,そこでめざされている学力像を捉え,評価方法へと具体化していくうえで,学力の三層構造を念頭において考えてみるとよいだろう。 教科の学力の質は,下記の三つのレベルで捉えることができる。Ⅰ:個別の知識・技能の習得状況を問う「知っている・できる」レベルであれば,穴埋め問題や選択式の問題など,客観テストで評価できる。しかし,Ⅱ:概念の意味理解を問う「わかる」レベルについては,知識どうしのつながりとイメージが大事であり,ある概念について例を挙げて説明することを求めたり,頭のなかの構造やイメージを絵やマインドマップに表現させてみたり,簡単に論述させたりするような機会がないと評価できない。さらに,Ⅲ:実生活・実社会の文脈における知識・技能の総合的な活用力を問う「使える」レベルは,実際にやらせてみないと評価できない。そうして実際に思考を伴う実践をやらせてみてそれができる実力を評価するのが,パフォーマンス評価である。 現行の観点別評価では,「知識・理解」「技能」を,断片的知識(「知っている・できる」レベル)を穴埋めや選択式などの客観テストで問い,「思考・判断・表現」を,主に概念の意味理解(「わかる」レベル)を応用問題や短めの記述式の問題で問うようなテストが作成される一方で,「関心・意欲・態度」については,子どもたちのやる気を見るテスト以外の材料をもとに評価しているように思われる 表1 。 資質・能力ベースの新学習指導要領がめざすのは,「真正の学習(authentic learning)」(学校外や将来の生活で遭遇する本物の,あるいは本物のエッセンスを保持した活動)を通じて「使える」レベルの知識とスキルと情意を一体的に育成していくことである。新指導要録の観点別評価では,「知識・技能」について,理解を伴って中心概念を習得することを重視して,「知っている・できる」レベルのみならず,「わかる」レベルも含むようテスト問題を工夫することが求められる。そして,「思考・判断・表現」については,「わかる」レベルの思考を問う問題に加え,全国学力・学習状況調査の「活用」問題のように,「使える」レベルの思考を意識した記述式問題を盛り込んでいくこと,また,「主体的に学習に取り組む態度」も併せて評価できるような,問いと答えの間の長い思考を試すテスト以外の課題(タスク)を工夫することが求められるのである 表2 。■教科の学力の質ⅠⅡⅢ実生活・実社会の文脈における知識・技能の総合的な活用力を問う「使える」レベル(例:三権分立という観点から見たときに,自国や他国の状況を解釈し問題点等を指摘できる)概念の意味理解を問う「わかる」レベル(例:三権分立が確立していない場合,どのような問題が生じるのかを説明できる)個別の知識・技能の習得状況を問う「知っている・できる」レベル(例:三権分立の三権を答えられる)能力・学習活動の階層レベル(カリキュラムの構造)※「関心・意欲・態度」が表からはみ出しているのは,本来学力評価の範囲外にある,授業態度などの「入口の情意」を 評価対象にしていることを表すためである。知識スキル認知的スキル記憶と再生,機械的実行と自動化解釈,関連付け,構造化,比較・分類,帰納的・演繹的推論内容の価値に即した内発的動機,教科への関心・意欲知的問題解決,意思決定,仮説的推論を含む証明・実験・調査,知やモノの創発(批判的思考や創造的思考が深く関わる)事実的知識,技能(個別的スキル)概念的知識,方略(複合的プロセス)見方・考え方(原理と一般化,方法論)を軸とした領域固有の知識の複合体Ⅰ 知識の獲得と  定着(知って  いる・できる)Ⅱ 知識の意味理  解と洗練 (わかる)Ⅲ 知識の有意味  な使用と創造 (使える)プロジェクトベースの対話(コミュニケーション)と協働活動の社会的レリバンスに即した内発的動機,教科観・教科学習観(知的性向・態度)社会的スキル学び合い,知識の共同構築達成による自己効力感情意(関心・意欲・態度・人格特性)資質・能力の要素(目標の柱)表1 現行の四観点の評価実践の傾向教科等の枠づけの中での学習知識・理解・技能思考・判断・表現 関心・意欲・態度能力・学習活動の階層レベル(カリキュラムの構造)知識スキル認知的スキル記憶と再生,機械的実行と自動化解釈,関連付け,構造化,比較・分類,帰納的・演繹的推論内容の価値に即した内発的動機,教科への関心・意欲知的問題解決,意思決定,仮説的推論を含む証明・実験・調査,知やモノの創発(批判的思考や創造的思考が深く関わる)事実的知識,技能(個別的スキル)概念的知識,方略(複合的プロセス)見方・考え方(原理と一般化,方法論)を軸とした領域固有の知識の複合体Ⅰ 知識の獲得と  定着(知って  いる・できる)Ⅱ 知識の意味理  解と洗練 (わかる)Ⅲ 知識の有意味  な使用と創造 (使える)プロジェクトベースの対話(コミュニケーション)と協働活動の社会的レリバンスに即した内発的動機,教科観・教科学習観(知的性向・態度)社会的スキル学び合い,知識の共同構築達成による自己効力感情意(関心・意欲・態度・人格特性)資質・能力の要素(目標の柱)表2 新しい評価実践の方向性教科等の枠づけの中での学習豊かなテスト豊かなタスク知識・技能主体的に学習に取り組む思考・判断・表現 態度3