ブックタイトル中学校数学「データの活用」新教材の指導の手引き

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概要

中学校数学「データの活用」新教材の指導の手引き

11中央値は7です。しかし,中央値付近の値の分布は全然違います。それでも,範囲が同じで四分位範囲が違うデータ同士を比較する際には,四分位範囲が威力を発揮します。3.範囲と四分位範囲の特徴範囲は,データの全ての値のうちで,最小値と最大値にあたる2つの値しか使いません。仮にデータの値が全部で1000 個あっても,残りの998 個の値が持つ情報は無視されます。また,範囲には,外れ値の影響を受けやすいことが欠点として挙げられます。その点,四分位範囲はどうでしょうか。四分位範囲も,計算に使うのは第1四分位数,第3四分位数にあたる2 つの値だけです。しかし,この2 つの値を求める際には,全ての値を順に並べるという作業をします。このため,第1四分位数と第3四分位数には,中央値と同じように外れ値の影響を受けにくいという特徴があります。例えば,前ページの例3 の最大値13 を25 に変えると,範囲は(13-0=)13 から(25-0=)25 に変わります。しかし,四分位数はいずれも変わらないので,四分位範囲も変わりません。一般に,四分位範囲には,外れ値の影響を受けにくいという特徴があります。  (範囲)=(最大値)-(最小値)(四分位範囲)=(第3四分位数)-(第1四分位数)範囲は,データ全体の分布の広さを示します。それに対して四分位範囲は,中央値の前後の約25%ずつ,合わせて約50%のデータが入る区間の広さを示し,データが中央値付近にどのくらい散らばっているかを表します。四分位範囲が「小さい」とは約50%のデータが中央値付近に集まっていることを指し,四分位範囲が「大きい」とは約50%のデータが中央値付近に集まっていないことを指します。このように,四分位範囲は,データの散らばりの度合いを表す指標の1つとして用いられます。前ページの例1 のデータの範囲と四分位範囲を求めると,次のようになります。0例12 4第3四分位数↓中央値↓四分位範囲範囲最小値↓最大値↓第1四分位数↓5 6 8 8 8 10 13 25 (範囲)=(最大値)-(最小値) =25-0 =25 (四分位範囲)=(第3四分位数)-(第1四分位数) =10-4 =6ここで,注意が必要なのは,四分位範囲が同じだからといって,中央値付近の分布が同じとは限らないということです。次の2 つのデータを比べてみましょう。どちらも範囲は15,四分位範囲は11,A 0 1 2 3 3 11 12 13 14 15B 0 1 2 6 7 7 8 13 14 15