ブックタイトル中学校数学「データの活用」新教材の指導の手引き

ページ
25/28

このページは 中学校数学「データの活用」新教材の指導の手引き の電子ブックに掲載されている25ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

中学校数学「データの活用」新教材の指導の手引き

日文 教授用資料 23図1を見ると,台風の発生数について,少なくとも増加傾向にあるという印象は受けません。むしろ,減少しているように見えないでしょうか。そこで,今度は前ページの度数分布表をもとに,度数分布多角形をかいてみることにします(図2)。山のピーク,すなわち最頻値に着目すると,1951 ?1984 年より1985 ?2018 年の34 年間の方が大きいことから,台風の発生数は増加傾向にあるといえるかもしれません。しかし,発生数が15 個未満の階級や30 個以上の階級に着目すると,逆に減少傾向にあるということもできます。さらに,図2 と同じデータの分布を箱ひげ図に表してみます(図3)。図3 では,最小値と最大値がそれぞれ減少傾向にあることから,「台風の発生数が減少傾向にある」という印象を受けるかもしれません。しかし,箱の位置と長さ,中央値に着目すると,「あまり変わっていない」ということもできそうです。以上のことを総合的に判断すれば,これらのデータからは,「特に増加や減少の傾向は読み取ることができない」という結論が妥当ではないかと思われます。3.批判的に考察しようとする態度の育成直観を頼りに仮説を立てること自体は悪いことではありませんが,その正しさの検証をすることなく,仮説が正しいと思い込むことは危険です。「データの活用」領域における学習では,データの収集の仕方は適切か,どの代表値が根拠としてふさわしいか,分布の形に着目しているか,分析した結果から得られる結論が妥当かなど,解決の過程を振り返って検討し,よりよい解決や結論を見いだそうとする態度を養うことを重視した指導が望まれます。(個) 台風の発生数195119841985201810152025303540図3(回)(個)台風の発生数1951~1984年1985~2018年5 10 15 20 25 30 35 4005101520図2